黒ボク土畑地の硝酸態窒素溶脱を抑える肥培管理法

タイトル 黒ボク土畑地の硝酸態窒素溶脱を抑える肥培管理法
担当機関 岩手県立農業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 黒ボク土畑地作土の硝酸態窒素(以下NO3-N)は積算降水量700mmで1m以下の層に溶脱する。溶脱量は化学肥料、有機質肥料にかかわらず多肥により増加する。ポリフィルムマルチ処理は溶脱量を減少させるが、緩効性肥料では必ずしも減少しない。有機物を適正に併用することは有効で、緑肥の下層鋤込みは、溶脱量を抑制する。
背景・ねらい 環境保全型農業への関心の高まりとともに、施肥窒素由来のNO3-Nが地下水等の環境を汚染することが問題とされてきており、畑地でのNO3-N溶脱抑制技術の確立が求められている。そこで、ライシメーター試験と緑肥鋤込み試験を行って、施肥窒素の形態やマルチ処理、有機物施用がNO3-Nに与える影響を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 排水の良い火山灰土壌の条件では、NO3-Nは土壌浸透水に伴って速やかに下方に溶脱する。作土層のNO3-Nピークが1m深にまで到達するには、積算降水量で約700mmを要する(図1)。
  2. NO3-Nの溶脱量は多肥によって著しく増加する。有機物でも施用量が多くなれば溶脱量は増加するが、化学肥料単独に比べると、溶脱量の増加割合は少ない。施肥窒素量に比較して作物体による吸収量が少ない場合に、NO3-N溶脱量が多くなる傾向が見られる(図2)。緩効性肥料(試験資材:被覆尿素)は作物による施肥窒素の利用率は高まるが、溶脱量はかならずしも低下せず、施肥位置等を考慮した減肥が必要である(表1)。マルチは作物の窒素吸収量を高め、NO3-N溶脱抑制に有効である。
  3. 緑肥等C/N比の高い資材をプラウによって下層鋤込みすると、後作物に多肥作目を作付けしても、吸収し残したNO3-Nを下層で吸収保持できる。
    (図3 ライムギ処理の違いが後作スイートコーンの層位別NO3-Nに及ぼす影響)
成果の活用面・留意点
  1. 畑地でのNO3-N溶脱抑制を考慮した肥培管理組立ての参考とする。
  2. 積算降水量とNO3-Nピークの溶脱深度との関係は、岩手県の気象条件において、火山灰を充填したライシメーターで得られたものであり、他の気象・土壌条件では異なると考えられる。
  3. 緑肥をNO3-N溶脱抑制の目的で鋤込む際は、なるべくC/N比の高い状態が効果的なため、出穂期以降とすることが望ましい。表層鋤込みでもNO3-N溶脱抑制効果は認められるが、後作物に対して窒素飢餓や乾燥等による発芽・活着障害を軽減するため、下層鋤込みが望ましい。
図表1 230781-1.gif
図表2 230781-2.gif
図表3 230781-3.gif
図表4 230781-4.gif
カテゴリ 土づくり 肥料 乾燥 施肥 肥培管理 ライ麦

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