タイトル |
冬の寒さを活かした高栄養野菜の生産 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
無加温ハウスでホウレンソウ、コマツナを収穫可能な大きさまで育てた後、冬期の外気低温にあてると、糖や各種ビタミン含有率を高め、良食味で高栄養な野菜を低コストで生産できる。さらに、これらの野菜の生育、伸長が低温で抑えられるため、長期間の収穫が可能となり、出荷調整が容易に行える。
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背景・ねらい |
ホウレンソウなどの野菜が冬の寒さにあたると甘くおいしくなることは農家の間では良く知られていた。一方、北東北で冬に消費する野菜の大部分は関東以南の移入に頼っているのが現状である。そこで、寒冷な気象とすでに多数普及しているハウスを活用し、良食味で高栄養な野菜を地元で低コストに生産することを試みた。
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成果の内容・特徴 |
- 無加温ビニールハウスでホウレンソウを収穫可能な大きさまで育てた後、ハウス側面のビニールの裾を約50cmあげて外気をハウス内にいれて栽培を継続すると、ホウレンソウの外観に変化が生じ、葉が厚くなり、開張型になる(図1)。
- ハウス開放後、ホウレンソウの伸長が停止して地上部重の増加が抑制されるが、糖及びビタミンC含有率は急激に増加する(図2)。βーカロテン、ビタミンEも同様に増加し、これらの値は同時期に市販されているホウレンソウに比べて明らかに高く、しかも、有害成分であるシュウ酸含量は増加しない(表1)。
- 伸長が低温下で止まるため、収穫が長期間可能となり、出荷調整が容易となる。
- 外気の低温をハウス開放という手段で利用するため、手間も少なく低コストである。
- コマツナなど、低温下で栽培できる他の葉菜類でも同様な結果が得られる。
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成果の活用面・留意点 |
- コマツナはホウレンソウより低温下での伸長性が高いため、厳寒期での作付け・収穫が容易であるが、ホウレンソウに比べ急激な温度変化に弱い。
- ハウス開放の効果は11月から12月にかけて高く、ハウスを密閉しても5℃以下になる1月以降は密閉ハウスでも糖・ビタミン含有率が上昇し、開放効果は小さくなる。ハウスは連続して開放するが、凍結の恐れがある時期は収穫前日に閉めておくと作業がしやすくなる。
- 急に厳しい寒さに当てると、葉柄の表皮がはがれるなど、外観品質が低下する場合がある。
- 作付けは地域の気象条件(気温・日照)を考慮して行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
こまつな
出荷調整
低コスト
ほうれんそう
良食味
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