土壌に添加したグルコースの消失速度と土壌微生物活性

タイトル 土壌に添加したグルコースの消失速度と土壌微生物活性
担当機関 福島県農業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 土壌に添加したグルコースの微生物による吸収・分解は土壌のpH、温度、水分等の影響を受けるが、土壌微生物活性の指標となる。土壌におけるグルコースの消失速度は土壌によって異なり、ダイコン萎黄病に対する発病抑止性の要因の一つと考えられる。
背景・ねらい ダイコン萎黄病は土壌によって発病が異なる。その詳細なメカニズムは明らかではないが、土壌微生物との関係が多く報告されている。土壌微生物の指標として二酸化炭素の発生量(土壌呼吸量)があるが、二酸化炭素発生量はその起源や微生物活動の内容が不明である。また測定方法も時間がかかり、特別の機器が必要である場合もあり、不便さがある。しかし、土壌にグルコースを添加し、一定時間毎にその消失の割合をグルコースオキシダーゼを用いた方法でしらべた結果、この消失速度と発病抑止性との間に正の相関関係が得られた。
成果の内容・特徴
  1. 2mm目のふるいを通した生土200gをポリエチレン袋に入れ、1%グルコース溶液を約10ml添加、良く混合する。土壌の入ったポリエチレン袋を30℃の恒温器に入れる。1時間毎に6回程度(0~5hr)土壌を10.0g取り出しポリ瓶にとる。ここに0.05%CaCl2溶液を20.0ml添加し良く混合後、ろ紙(東洋濾紙101など)でろ過する。このろ液0.5mlを試験管の中でグルコースCⅡテストワコー発色液3mlと混合・発色させ、グルコース濃度を測定する。これらの数値から乾土100g当たりのグルコース量を求め、時間に対してプロットする。回帰直線の傾きからグルコースの消失速度(mg/100gDW・hr)を求める。
  2. 土壌によるグルコースの消失は、土壌の量、微生物活性に依存し、添加したグルコース量とは無関係であり、時間的にほぼ一定の割合でなされた(0~6hr、図1、3)。
  3. 消失速度はpH(4.4<5.2<6.3)、温度(20<30<40℃)、水分、ECなどにも影響された。
  4. 消失速度は抗生物質の添加で抑制された(シクロヘキシミド<ストレプトマイシン<無添加)。したがって、グルコースの消失は糸状菌、細菌によるものと考えられ、特に糸状菌の働きが大きいと考えられた(図2)。
  5. 消失速度の高い土壌はポット試験の結果、ダイコン萎黄病の発生が少ない傾向を示し、消失速度はダイコン萎黄病に対する発生抑止性の一つの指標となり得る(図4)。
成果の活用面・留意点 土壌中のグルコースの偏在をなくすため、土壌を良く混合すること。
図表1 230849-1.gif
図表2 230849-2.gif
図表3 230849-3.gif
カテゴリ 萎黄病 だいこん

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