タイトル |
リンドウの腋芽のビーズ乾燥法による超低温保存 |
担当機関 |
福島県農業試験場 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
液体窒素によるリンドウの腋芽の超低温保存は、ビーズ乾燥法により可能である。5℃におけるハードニングを10日から25日間行い、800分から1100分乾燥することにより、再生後、約80%の節組織において正常な腋芽が伸長する。
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背景・ねらい |
リンドウの育種には、優良系統およびF1育種用親株を長期的に維持・保存することが必要となる。しかし、実生による優良株の維持・増殖を行う場合、形質のバラツキと自殖による弱勢化が問題となる。優良個体の組織を超低温下で半永久的に保存し、必要に応じて植物体を再生できれば育種に役立つことから、取り扱いが容易な組織の超低温保存技術の開発が望まれていた。
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成果の内容・特徴 |
- 通気膜のついたプラントボックスで2カ月間培養したリンドウ(ササ×エゾ)の腋芽を含んだ節組織(約2mm)を用い、ビーズ乾燥法の手順は図1の通りである。
- ハードニング処理は、1/2MS培地で約10日間、15℃において培養した後、10日から25日間、5℃で培養する(図2)。
- 前培養は、1/2MS培地(0.7Mショ糖を加え、硝酸アンモニウムは除いた)で2日間、5℃において培養する。アルギン酸ビーズへの包埋は、切片を3%(w/v)アルギン酸ビーズに包埋した後、1/2MS液体培地(0.7Mショ糖を加え、硝酸アンモニウムは除いた)中で一晩、5℃において振盪する。
- ビーズの乾燥は、25℃で風乾した後、クライオチューブに入れて液体窒素に投入する。
- 液体窒素から取り出したビーズは、32℃で急速に加温した後、硝酸アンモニウムを除いた1/2MS培地に置床し、1週間後に硝酸アンモニウムを含んだ1/2MS培地に移植する。
- 乾燥時間800分から1100分の間では、約80%の腋芽伸長率が得られる(図3)。
- 超低温保存した腋芽は、正常に生育して植物体となる。
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成果の活用面・留意点 |
供試材料は、ササ×エゾ系統であり、他の系統については未検討である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
乾燥
りんどう
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