タイトル |
組織培養による桑苗の大量生産と簡易桑園造成法 |
担当機関 |
福島県蚕業試験場 |
研究期間 |
1990~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
培養室約5㎡、順化施設60㎡、育苗施設60㎡の規模の施設において、桑組織培養シュートを利用したセル成型苗が、年間最大6万本生産できる。このセル成型苗の移植機による植付時間は、1.0~2.9時間/10aであり、98~100%の高い活着率が得られる。
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背景・ねらい |
野菜等移植栽培作物の苗生産には、セル成型苗が用いられている。桑園造成においてもセル成型苗の機械移植による桑園造成技術が開発されたが、本法の普及上の問題点は、生産コストの軽減と苗の保存・輸送方法にある。そこで、組織培養苗の利用によるセル成型苗生産と施設・設備の簡素化を検討するとともに、セル成型桑苗を利用した桑園造成の現地実証試験を行う。
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成果の内容・特徴 |
- セル成型桑苗の生産方法
- 腋芽(冬芽)由来のシュートの茎頂5~10mmを表1に示した培地に置床し、表1に示した条件で培養する。成長したシュートを葉1枚以上含むように10mm前後に細断し、塩化ビニル製連結ポットに挿し、半透明プラスチックボックス(33×28×11cm)内に保護する。箱当り挿し木本数は約160本とし、表1で示した培養条件で培養する。
- 発根したシュートを育苗ハウスで36穴連結育苗ポットに植替え、最初の5日間は#100の寒冷紗で被覆する。開放後施肥し、枝条長が5~10cmになったら屋外で育苗し木化させる。ただし、寒冷期間は育苗ハウス内で木化・落葉させる。
- 桑新品種「しんいちのせ」の培養シュートの平均発根率は、挿し木後25日で88%である。
- 育苗床1㎡当り収容数は約400本である。したがって、培養室約5㎡、順化施設60㎡、育苗施設60㎡規模の施設では、年間最大約6万本の苗生産ができる(表2)。
- セル成型桑苗による桑園造成:植付には、野菜や葉タバコの苗の移植機をそのまま利用できる。これらの移植機を利用すると、1,250本/10aの作業時間は、1.0~2.9時間である(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- シュート増殖にはクリーンベンチ、培養室及び減菌器等の整備が必要である。
- 移植機が利用できる圃場の傾斜は10゜以内である。
- 圃場植付には、苗をあらかじめポットから取り出し、乾燥を避けプラスチック製コンテナや苗運搬トレーに集積しておく。これにより、大量輸送が可能となり、植付作業能率が向上する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育苗
乾燥
くり
桑
コスト
挿し木
新品種
施肥
たばこ
輸送
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