交雑種を用いた黒毛和種の父牛評価

タイトル 交雑種を用いた黒毛和種の父牛評価
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1993~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 黒毛和種(父牛)とホルスタイン種(母牛)から生産した交雑種データを用い、遺伝的パラメターおよび父牛の育種評価を推定する。また増体量、枝肉単価について高い遺伝率が得られることから、交雑種を用いた黒毛和種の父牛評価が可能である。
背景・ねらい 黒毛和種の父牛の選抜には、純粋種産子を用いた後代検定の情報を用いる。しかし純粋種の子牛価格は高く、繁殖農家の規模も小さい。一方、交雑種は安価であり、酪農家1戸当たりの飼養頭数は大きい。このことから交雑種については、特定の父牛の産子を同時期に数多く得ることが可能である。また、肉質の評価については、黒毛和種の母牛から得た純粋種より、変異の小さいホルスタインを母牛に持つ交雑種を用いた方が、より正確な父牛評価となる可能性がある。以上の理由から、交雑種データを用いた黒毛和種父牛の選抜が可能か検討した。
成果の内容・特徴
  1. 8頭の黒毛和種を父に持つホルスタイン種との交雑種341頭のデータを用い(表1)、導入から出荷までの一日平均増体量(DG)および脂肪交雑を評価するBMSナンバー(BMS)、枝肉1kgの単価(枝肉単価)の3形質について遺伝的パラメターを推定した。分析には多形質の種雄牛モデルによる制限最尤推定法を用いた。
  2. 種雄牛の育種価の幅はDG、BMS、枝肉単価について、各々-174.7~152.8g、-0.272~0.146、-403.3~292.1円/kgであった(表2)。
  3. DGおよびBMS、枝肉単価の遺伝率は、各々0.810および0.111、0.532であった。遺伝相関はDGとBMS間では-0.794、DGと枝肉単価間では-0.353と負の値であり、BMSと枝肉単価間では0.849と大きな正の値が得られた(表3)。
以上より、本研究で得られた父牛の育種価の変異と遺伝率を見る限りでは、交雑種を利用した黒毛和種の後代検定は可能である。
成果の活用面・留意点 今後、交雑種を用いた改良事業について検討する必要がある。また、本研究では組合せの効果、母性効果、雑種強勢などの量的遺伝子以外の効果については考慮していない。今後はこうした課題についての研究も必要であろう。
図表1 230886-1.gif
図表2 230886-2.gif
図表3 230886-3.gif
カテゴリ 育種 出荷調整 乳牛 繁殖性改善

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