タイトル |
野外におけるPCR法を用いた牛胚の雌雄判別成績 |
担当機関 |
岩手県畜産試験場 |
研究期間 |
1995~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
PCR法の利用による胚の段階での性判別について、野外牛を対象に実施したところ、Aランク胚ではバイオプシーによる受胎率の低下はなく、実用性が高いと認められた。
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背景・ねらい |
分子生物学の発達は、Polimerase chain reaction(PCR)法を利用した遺伝子診断技術をもたらし、牛においても性判別用のキットが市販されるに至った。受精卵移植技術は、家畜の育種改良や特定品種の増殖に利用されているが、これに雌雄産み分け技術が加われば利用価値はさらに高まる。そこで、この技術の実用性を野外において検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 性判別方法
材料:受精卵移植に供する胚(新鮮胚または凍結保存胚の融解後の胚)の一部の細胞をマイクロマニピュレーターに装着したバイオカットブレイドで切断(バイオプシー)したもの。 DNA増幅用試薬キット:XYセレクター(伊藤ハム)
- 判別結果および受胎率
ア.バイオプシーから判定までに要する時間は約2.5時間であった。 イ.雌雄の判別が可能な割合は97.2%(70/72)であった(表1)。 ウ.雌雄を判別した胚の移植後の全体の受胎率は33.9%(19/56)であった(表1)。 これを胚のランク別に比較すると、 新鮮胚でA:54.5%(6/11)、B:25.0%(1/ 4)、C:21.4%(3/14) 凍結胚でA:81.8%(9/11)、B: 0.0%(0/11)、C: 0.0%(0/ 5)であり、 Aランク胚ではバイオプシーによる影響は認められなかった(表2)。 エ.判別結果と実際の性の一致率は85.7%(12/14)であった。
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成果の活用面・留意点 |
- 後継牛を必要とする酪農家をはじめとし、種雄牛生産などの場面でも繁殖の効率化が図られる。
- 牛胚移植技術が確立していることを前提とする。
- 用いる胚のランクが受胎に大きく影響するので、特に凍結融解胚の場合には融解後の胚の検査の時点で受胎がほとんど期待できない場合がある。
- 判別結果は種々の要因により誤る場合がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育種
受精卵移植
診断技術
乳牛
繁殖性改善
品種
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