タイトル |
スルホニルウレア系除草剤抵抗性のアゼトウガラシの出現とその対策 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1996~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
スルホニルウレア系除草剤に対する抵抗性生物型のアゼトウガラシが山形県東置賜郡川西町の水田に出現している。この生物型は従来の感受性生物型と比べるとおよそ100倍の除草剤抵抗性を示し、通常使用濃度のスルホニルウレア系除草剤では枯殺できない。この抵抗性雑草は一発剤の連用によって出現した可能性が高い。その防除には初期剤と中期剤の体系処理が効果的である。
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背景・ねらい |
東北地域の水田では、スルホニルウレア系除草剤(以下SU剤と略す) を主成分とする一発剤の使用が急激に増加している。 この剤は水田雑草全般に幅広いスペクトラムを持つが、 数年前から一部の一年生雑草に対する不効問題が生じている。 そこで、そのうちの アゼトウガラシのSU剤抵抗性を検定し、 防除方法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 山形県東置賜郡川西町吉島において、
除草剤処理約1ヶ月後の時期に水田1,019筆を調査し、 111筆(約30ha)でアゼトウガラシの残草が認められた。
- このアゼトウガラシは、ベンスルフロンメチル(SU剤の1種)
による半数致死量が従来のアゼトウガラシの280倍であり、 通常使用濃度の2倍量の処理でもまったく影響を受けない (図2)。 従って抵抗性生物型であると判断される。
- ベンスルフロンメチルだけでなく、ピラゾスルフロンエチル、
イマゾスルフロンなど他のSU剤にも半数致死量に80~290倍の差がみられ、 これらSU剤の通常使用濃度の処理では防除効果がみられない (図2)。
- アゼトウガラシが問題となっている圃場では
ベンスルフロンメチル・メフェナセット粒剤(ザーク粒剤) を中心とした一発剤が連用されており(表1)、 これら一発剤の連用が抵抗性生物型を出現させた可能性が高い。
- このアゼトウガラシには、プレチラクロール、
ビフェノックスを含む初期剤の発生前処理、ベンチオカーブ・シメトリン・MCPB、 フェノチオール・シメトリンなどの中期剤の1葉期処理が高い防除効果を示す。 一方、メフェナセット、エスプロカルブの1葉期処理には防除効果が見られない (表2)。 現地圃場試験の結果では、 プレチラクロール粒剤とベンチオカーブ・シメトリン・MCPB粒剤の体系処理で 完全に除草できている。
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成果の活用面・留意点 |
- 除草剤散布後にアゼトウガラシだけが残草した場合は
抵抗性生物型である可能性が高く、上記の体系処理を適用することが推奨される。
- 東北各地の水田では、
中干し期以降にゴマノハグサ科の雑草が残っていることがあるが、 この場合は漏水など他の要因も考えられることに注意する。
- SU剤による防除は多年生雑草の発生が多い水田では有効であるため、
アゼトウガラシに抵抗性生物型が出現したことを理由に SU剤の使用を控える必要はない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
除草
除草剤
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抵抗性
とうがらし
防除
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