タイトル |
ポリカチオン法を用いたbar(除草剤耐性)遺伝子導入組換え体の作出 |
担当機関 |
青森県グリーンバイオセンター |
研究期間 |
1995~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
ポリカチオン法による遺伝子導入技術を用い、青森県の主要品種である「むつほまれ」にbar遺伝子を導入した組換え体を作出した。この組換え体は特定の除草剤に対し、極めて強い耐性を示した。
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背景・ねらい |
ポリカチオン法は、農林水産省農業研究センターにおいて、 開発された新しい遺伝子導入技術である。 この技術を用いて、水稲の新しい形質を備えた組換え体の作出を試みた。 除草剤耐性遺伝子は、一般的に利用価値が認められてきたが、 国内では水稲の実用品種の育成には至っていない。 そこで、青森県主要品種を用いて、組換え体を作出するために研究を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 導入方法
- 供試品種および材料:「むつほまれ」懸濁培養細胞から単離したプロトプラスト。
- ポリカチオン法の実験手順は図1、
使用液の濃度は表1に示すとおりである。
- 組換え体の作出
- 選抜カルスから得られた再分化系統は、エレクトロポレーション法では12系統、
ポリカチオン法では9系統である。ポリカチオン法による組み換え植物の再分化率は エレクトロポレーション法に比べてやや低率である。 また、アルビノ植物体が多く発生している(表2)。
- 得られた系統の葉からDNAを抽出し、
サザンハイブリダイゼーション法によってそれぞれの遺伝子の確認を行うことにより、 ポリカチオン組換え体には多数のバンドが確認された系統が存在している (図2)。
- 除草剤成分(ビアラホス:アミノ・リン系)を含む発根培地上で
幼植物体を生育させることにより、組換え体は生存するが、 非組換え体は2週間目に安全に枯死する(図3)。
- 組換え体を除草剤散布すると
通常の1000倍希釈量より10倍濃度の高い液剤の散布でも抵抗性を示す (表3)。
- 組換え体は隔離温室内で栽培して、稔実した種子を形成する。
以上の結果より、ポリカチオン法を用いて、除草剤耐性組換え水稲を作出することが できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 第2世代における遺伝的安定性を確認する必要がある。
- 遺伝子組換え体の農業上の安全性に関する調査を行ってから、一般栽培が可能となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
病害虫
除草剤
水稲
抵抗性
品種
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