土壌中のダイコン萎黄病菌の保存法

タイトル 土壌中のダイコン萎黄病菌の保存法
担当機関 福島県農業試験場
研究期間 1996~1998
研究担当者
発行年度 1996
要約 ダイコンの連作により増加した土壌中のダイコン萎黄病菌Fusarium oxysporum f.sp.raphaniの密度は、室内で保存すると採取してから初期の数ヶ月で最初の数分の1に減少するが、その後の減少は極めて緩やかである。しかし、風乾により顕著に減少する。本菌の振とう培養菌体の密度は土壌中では急速に減少する。
背景・ねらい ダイコン萎黄病の発病試験の接種源として
土壌フスマ培養や振とう培養菌体などが用いられるが、調製に時間がかかり、
菌量評価が困難であること、土壌中の安定性、発病力の点で問題がある。
一方、本病の発病株の跡地には厚膜胞子が多量に残存し、
これを接種源として利用できる。
厚膜胞子は発病力が強く、菌数の評価が容易であり、耐久性も良いと考えられる。
そこでダイコン萎黄病菌が、駒田培地やPSA培地上で
独特の形態を有することを利用して、他の非病原性フザリウム菌から識別し、
土壌中での本病原菌密度を経時的に測定し、
土壌中における菌密度の安定性・保存方法について検討した。
成果の内容・特徴
  1. ダイコンを連作し、比較的高い病原菌密度を持つ発現跡地土壌
    (土壌は淡色黒ボク土壌で、pHは6.9、土壌水分は飽和容水量の約45%)を生土の状態で
    25度、5度、風乾後25度で室内保存し、定期的に病原菌密度を調査した。
  2. 菌密度は生土状態で初期の数ヶ月で最初の約3分の1に減少するが、
    その後の減少は極めて緩やかである。
    25度と比べ5度で保存した方が減少の割合はさらに低い
    (図1)。
  3. 生土の風乾によって菌密度は顕著に減少する。
    本菌は約7ヶ月でほとんど検出出来なくなる
    (図1)。
  4. 土壌(淡色黒ボク土壌で、pHは6.8、土壌水分は飽和容水量の約45%)に混和した
    振とう培養菌体(Bud cell)の密度の減少速度は、5日後で最初の4分の1、
    約6ヶ月後で50分の1と、発病跡地土壌に比べ急速である
    (図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 発病試験に用いる発病跡地土壌(病土)は低温下で保存し、乾燥を避けること。
  2. 振とう培養菌体は土壌中で急速に減少するため防除試験の接種源には不適である。
図表1 231006-1.gif
図表2 231006-2.gif
カテゴリ 病害虫 萎黄病 乾燥 だいこん 防除

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