タイトル |
桑園用除草剤による薬害の発現様相 |
担当機関 |
福島県蚕業試験場 |
研究期間 |
1987~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
除草剤の適切な使用と薬害防止に資するため薬害症状を発現させ、その特徴から除草剤の種類を判断する基礎資料を策定し、桑の薬害写真集として示した。
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背景・ねらい |
近年除草剤は多数開発し、使用方法の多様化し、薬害発生の場合、 その症状から除草剤の種類を判断する事が困難になっている。 そこで、本調査は除草剤の適正な使用と薬害防止に資するため、 桑に実際に薬害を再現させ、その発現様相、その特徴を検討する。 そして、その成果は「桑の薬害写真集」として一般に公開する。
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成果の内容・特徴 |
- 桑に薬害が認められない葉剤は、茎葉処理剤の2剤と土壌処理剤の5剤である
(表1)。
- 剤型別では粒剤より水和剤や液剤の方が薬害を発生しやすい特徴が認められる。
- 一般的茎葉処理剤と吸収移行型のグリホサート系では、
吸収移行型の方で初期症状や落葉までに至る経過が早く、 また落葉を免れた先端葉では白黄色を呈し、 翌春の薬害様相は新梢葉が奇形で生育不良となる。
- 一般的茎葉処理剤のビアラホスと
吸収移行型のグリホサートナトリウム塩が混合されている薬剤では、 初期発現が単剤よりやや遅く黄色から後に褐色を呈し落葉する。
- 土壌処理剤の薬害は、薬剤により根茎からの吸収害の様相が異なる。
DCMUでは主脈から細脈にかけて光沢がない黄色と一部褐色を呈する。 CATでは葉肉が鮮明な白黄色を呈する。 リニュロンでは主脈から細脈にかけて黄色を呈する。 DBNでは上位葉が緑黄色で伸長の停止と枝条の皮目が肥大し茶褐色、 さらに枝条皮層部が"さめはだ状"になる。 また、翌春の発芽状況は不発芽と生育不良を呈する。 ノルフルラゾンでは上位葉が黄白色で主脈から細脈にかけて白色を呈し、 伸長した枝条皮層部も白色を呈する。再発枝が発生しその葉も白色を呈する。
- 茎葉処理剤のグルホシネートやビアラホスに土壌処理剤のDCMUが混合されたものは、
茎葉薬害と吸収薬害は単剤の薬害と同様である。
- 燕口から開葉期に散布すると、トリフルラリン・プロメトリンでは軽微な黄色、
プロメトリン・メトラクロールでは葉全面に黄色、 トリフルラリンでは葉の主脈から細脈にかけて黄色を呈する。
- 「桑の薬害写真集」として一般に公開した(市販)。
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成果の活用面・留意点 |
- 除草剤の登録基準を厳守する。
- 薬害発生の場合は、状況の聞き取りと現物の確認を行い、
本薬害写真集を参考として原因を判断する。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
桑
除草剤
土壌処理
薬剤
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