蔟中環境の改善による解じょ率向上技術

タイトル 蔟中環境の改善による解じょ率向上技術
担当機関 岩手県農業研究センター
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 上蔟室内の温度を外気温より2度程度高めになるように保温し、並行して換気することにより夜間でも室内温度を低下させることができる。さらに室内全体に風が安定して循環するように循環扇を設置すると解じょ率が向上する。
背景・ねらい 1993年に繭検定法が改正され、
解じょ率が直接繭価格に影響を与える掛目決定の重要事項となったことから、
解じょ率の良否が深く養蚕経営に係わるようになった。
解じょ率は乾繭や製糸工程によっても左右されるものの、
一度蔟中環境によって受けた繭の解じょ機構は
それ以降の工程がいくら良好であってもほとんど変化しないと言われており、
解じょ率を向上させるためには蔟中環境改善をはかることが最も重要である。
解じょの良否には湿度と気流が大きく影響することが
これまでの研究によって明らかにされているところから、
蔟中環境の改善方法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 営繭中の繭から水分が供給される条件下で、
    温度差を発生させた場合の上蔟室の相対温度の変化は3%/度となった(r=0.774, n=32)
    (図1)。
  2. 夜間、外気温度が低下し湿度が90%RH以上になる場合、
    室内温度を2度以上高くしながら外気を導入すれば、
    90%RH以下の温度を保つことができる
    (図2)。
  3. 上蔟室内の温度管理は、日中より夜間に重点を置き、春、晩秋蚕期は23度、
    夜間でも外気温度が高い夏蚕期はやや高めにして25度を目標とする。
    雨天の場合は日中でも窓等を閉鎖し、
    外気温度より室内温度を2度以上高く保つように保温する
    (表1)。
  4. 繭からの水分の蒸発を促進するため、
    上蔟室内全体に風が安定して循環するように循環扇の位置および風量を調節し、
    常時作動させる。設置位置は蚕室の構造によって異なるが、
    1台の場合は羽根を斜め上方に向けて設置することにより、
    天井に沿って流れた空気が壁に当たって下降し、
    床面に沿って循環扇の方向に戻る循環気流を得る。
    大型の蚕室では、2台の循環扇を上蔟室の両端に対面させて設置し、
    気流が循環するように室内をシートで仕切る。
  5. 上蔟室内の保温と換気を自動で行うには、吸気用換気扇をタイムスイッチで制御する。
    換気扇で吸気した外気を温度センサーに当てて暖房機を作動させ、
    同時に排気用換気扇で室内の空気を排気する。タイムスイッチの作動間隔は、
    (上蔟室の容量/換気扇の能力)×3を目安に作動と停止を繰り返すようにする。
成果の活用面・留意点
  1. 蔟中の環境改善には温度・湿度・換気、気流の循環の調整が必要であるが、
    蚕室の構造および保有する装置によっては、これらを組み合わせて実施する。
  2. 環境改善のための装置運転は、蚕の上蔟が斉一な場合は3日間、
    不斉な場合は4日間とする。
  3. 雨天の場合の室内温度は30度を限度とする。
    外気温が設定した目標温度より高くなった場合は換気扇の運転を休止する。
  4. 大規模な上蔟室は効率的な暖房、換気を行うため、室内をビニール等で間仕切りする。
  5. 循環扇は蔟に直接風が当たるのを避けて設置する。
図表1 231028-1.gif
図表2 231028-2.gif
図表3 231028-3.gif
カテゴリ 温度管理 カイコ 経営管理

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