タイトル |
低アミロース米水稲新品種候補系統「奥羽344号」 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
水稲「奥羽344号」は、アミロース含量が9%程度の低アミロース系統で、「トヨニシキ」よりやや早い中生の熟期で、良食味、多収の特徴があり、かつ冷飯の食味も優れる。このため、冷凍米飯等の利用が民間業者で予定され、作付け面積は数百ヘクタールが予定される。
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背景・ねらい |
加工米飯の普及拡大が進み、加工適性の高い品種が要望されている。とくに、 おにぎり、弁当、冷凍白飯など冷温保存後に食する場合においては、 一般の粳品種では食味低下が大きく、冷めても食味低下が少ない品種が求められている。 一方、アミロース含量が一般の半分程度の低アミロース米は、 冷めても食味低下が少ないことが指摘されている。しかし、 東北地方に適した低アミロース品種は開発されておらず、用途拡大の面からも、 その開発が急がれていた。そこで、東北地域に適した低アミロース品種の育成を目標に、 農業生物資源研究所から低アミロース特性をもった母本の分譲を受け、育成を進めた。
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成果の内容・特徴 |
- 「奥羽344号」は、低アミロース系統「74wx2N-1」(農林8号/農林8号低アミロース変異)
と「レイメイ」の組合せから育成された水稲の低アミロース系統である。
- 「トヨニシキ」と比較し、出穂期と成熟期は2日程度早く、
育成地では中生の中の熟期である。 稈長はやや長く、穂長は同程度、穂数はやや少なく、耐倒伏性はやや弱い。
- いもち病の真性抵抗性遺伝子型は+と推定され、葉いもちは中、穂いもちはやや弱、
白葉枯病抵抗性はやや弱、縞葉枯病に罹病性である。また耐冷性はやや弱、 穂発芽性はやや易である。
- 玄米収量は「トヨニシキ」と同程度で、
低アミロースの系統としてはかなりの多収性である。 玄米千粒重は「トヨニシキ」より3g程度重く、かなりの大粒である。
- 玄米品質は半糯特有の白濁があり、粒張り良好であるが、精米後の胚芽残存は多い。
また平年のアミロース含量は7~9%であるが、 登熟期の気温によりアミロース含量が変動し、 高温年は低くなり低温年は高くなる傾向がある。
- 食味は「ひとめぼれ」と比較し、
低アミロース特有の粘りがあり、炊飯直後の食味は同等であるが、 冷飯での食味はより美味しく、また冷凍保存後の食味も良い。
具体的データ
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成果の活用面・留意点 |
- いもち病抵抗性、耐冷性とも不充分なので常発地での栽培は避けるほか、
防除や低温時の水管理に留意する。
- 稈長が長く耐倒伏性がやや弱いので、多肥栽培は避け、追肥時期にも注意する。
- 登熟温度が高温のときはアミロース含量が低くなり、
低温のときは高くなることに留意し、栽培適地を判定する。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
加工
加工適性
縞葉枯病
新品種
水稲
多収性
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
水管理
良食味
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