タイトル |
分光放射計およびプラント・キャノピー・アナライザーによる水稲葉面積指数の推定 |
担当機関 |
福島県農業試験場 |
研究期間 |
1997~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
分光放射計および植物群落構造解析装置(プラント・キャノピー・アナライザー)を用いることにより、水稲葉面積指数を非破壊かつ敏速に推定することが可能である。
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背景・ねらい |
水稲の葉面積指数(LAI)等の生育量を把握することは、 適切な肥培管理を行う上で極めて重要である。 しかし、葉面積指数を測定するには多大な労力を必要とする。 このため、分光放射計及びプラント・キャノピー・アナライザーを用いることにより、 非破壊で、かつ迅速な葉面積指数の推定方法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 使用した分光放射計(ポータブルフォトメータ2703型)は、
小型軽量で使用が簡単である。 測定波長は400nm~700nmが25nm間隔、750nm~1050nmが100nm間隔で、 測定は1分程度ででき、ほ場でも可能である。 本装置を用いて、分げつ初期から幼穂形成期までの分光反射係数を測定した (図1)。
- 分光反射係数R575およびR675は、幼穂形成期まで数値が低下するのに対し、R850は、
分げつ初期から幼穂形成期まで急速に増加し、水稲生育量との相関が高かった。
- 分光反射係数R850とR575の比演算値は、葉面積指数との相関係数が最も高かった。
この関係は年次が異なっても安定していることから、 分光反射係数の比演算値を用いて、 分げつ初期から幼穂形成期までの葉面積指数を推定することが可能である (図2)。
- プラント・キャノピー・アナライザ(PCA)による葉面積指数は、
実測した葉面積指数と高い正の相関関係が認められ、 葉面積指数の推定が可能である。 しかし、葉面積指数が5以上になると、推定精度は低下する傾向が見られた (図3)。
- プラント・キャノピー・アナライザーによる葉面積指数は、
散乱光が卓越する曇天日では、時刻に関わらず安定していたが、 直達光が卓越する晴天日の日中では、測定値が低下する傾向がみられた。 従って、本装置を用いて葉面積指数を推定する場合は、散乱光が卓越する曇天日か 晴天日の太陽高度が低い早朝および夕方に測定を行う必要がある (図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 分光放射計およびプラント・キャノピー・アナライザーを用いることにより、
水稲葉面積指数を非破壊、迅速かつ簡便に把握することが可能となる。
- 分光放射計による測定の際は、
分光放射計の俯角や視野角、測定距離を一定にするとともに、 視野内に写る株の位置がほぼ同一になるようにセットする必要がある。
- プラント・キャノピー・アナライザーによる測定の際は、
測定する高さが高まると数値が低くなるため、 排水して地際近くから測定する必要がある。
- 今回の試供品種は「ひとめぼれ」であり、草型の異なる品種での検証が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
水稲
肥培管理
品種
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