タイトル |
組織培養桑苗の生産費 |
担当機関 |
福島県蚕業試験場 |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
当場施設を用いた組織培養桑苗生産は、しんいちのせの場合、夏で450本の継代を9回実施して11,089本のセル成型苗を生産でき、苗1本当たりの生産費は約36円と試算される。同様に冬では、300本の継代を8回実施して6,571本のセル成型苗を得ることが可能で、生産費は63円と試算される。
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背景・ねらい |
組織培養を利用した桑苗生産は、 施設を利用しているので周年を通した苗木の生産が可能であり、 さらに小型の均一な苗(セル成型苗)が生産されるので、 野菜の移植機等を利用した桑園造成が可能となった。 そこで、組織培養桑苗生産の各作業行程における 労働時間、資材、光熱水費等の経費等を調査し、 組織栽培桑苗の生産費について試算する。
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成果の内容・特徴 |
- 組織培養桑苗の生産に関わる工程は大きく分けて、
増殖、発根、順化・育苗の3工程に分けられる。
- 増殖・継代を培養室(6.5平方メートル、培養棚4段×3脚)で実施した場合、
しんいちのせでは、夏(5~10月)期間で450本の継代を9回実施して、 11,089本のセル成型苗を得ることが可能で、 要する作業時間は192時間(表1)、 資材等の経費は約21万円(表2)と算出される。
- これを労働単価1時間当たり1,000円で試算すると、
セル成型苗1本当たり36円と算出される。
- 冬(11~4月)期間では、300本の継代を8回実施して、
6,571本のセル成型苗を得ることが可能で、作業時間は122時間、 資材等の経費は約29万円と算出され、セル成型苗1本当たり63円と試算される。
- 同様に、改良鼠返の場合はシュートの増殖率が低いため生産費はやや高く、
夏期間では、9,646本のセル成型苗を得ることが可能でセル成型苗1本当たり49円、 冬期間では6,190本で76円と試算される。
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成果の活用面・留意点 |
- 組織培養桑苗の生産は池田、藤田の方法(1992)により実施した。
- 1年間を通じて施設の有効利用を図るため、
1回の継代シュート数を一定数とする必要があるが、 冬期間は発根したシュートの植え替え後の活着率が低くなるため、 発根シュートの規格を大きくする必要がある。 このため、発根の工程を夏期間では4週間、冬では8週間を必要とし、 1回の継代シュート数も異なる。
- 現在、この技術は福島県養蚕経営基盤整備事業の「機械化桑園造成モデル事業」
に対応して、当場で組織培養桑苗を生産し農家に供給しているため、 施設および耐久資材等の償却費は、生産費の計算には含まれていない。
- 今後この技術を普及体制に移行させる場合、
順化・育苗の工程はハウス等の設備を有する農家で対応可能であるが、 増殖および発根の工程については、 無菌培養や恒温室等の施設を有する組織が担う必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育苗
カイコ
機械化
桑
経営管理
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