タイトル |
北東北の公共草地から効率的に流通粗飼料を生産するシステム |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
公共草地において標高差とチモシーの品種特性を活用すれば、収穫適期幅が拡大でき、効率的な流通貯蔵粗飼料生産が可能になる。刈取った牧草を水分40%以下、6層3回巻きで調製することにより廃棄率の少ないロールーベールサイレージができる。さらに、カッティングロールベールとすれば小規模肉牛飼養農家でも利用が可能である。
|
背景・ねらい |
北東北には多くの公共草地があり、主に日本短角種が放牧されてきた。 しかし、日本短角牛価格の暴落、兼業化さらには飼養者の高齢化で、 冬期の低コスト貯蔵粗飼料の確保が難しく、飼養頭数が急減している。 この結果、公共草地の利用率が低下し、牧場経営の悪化ばかりでなく、 これら中山間地が衰退する恐れがある。 そのため、公共草地を従来の繁殖牛の放牧のみの利用から、 採草地化して貯蔵粗飼料を効率的に生産し、 地域の繁殖飼養農家に安価に販売するシステムを構築する必要がある。
|
成果の内容・特徴 |
- 流通貯蓄粗飼料も生産している公共牧場の作業内容を調査すると、
高標高(800m)と中標高(450m)に採草地を持っていても、 収穫調製作業が作業量の季節変動を最も大きくし、 効率的管理作業の制限要因となっている(図1)。 今後、増加が予想される休耕田等を利用して 低標高地にオーチャードグラス草地とチモシー草地(クンプウ、ホクシュウ) を造成すれば、収穫作業期間が拡大され効率的作業を可能にする。
- 水分50%以下の低水分ロールベールサイレージを約10日間で使い切れば、
収穫翌年の春~初夏の間でも、サイレージは給与期間中の温度上昇が少なく、 品質の低下が小さい(表1) - 廃棄量の少ないロールベールサイレージを調製するには、6層3回巻が良い。
屋外所蔵で廃棄となる主な原因は、 フィルムの劣化・破損によるカビの発生と変敗であり、 長期間、品質を保持するには、水分40%以下で調製する。 フィルムの劣化が見られた場合に再びラッピングすれば、 1.5年以内は良好な状態で貯蔵可能である(表2)。
- 小規模繁殖牛飼養農家では従来、
ロールベールサイレージの使用希望者は少なかったが、 低水分のカッティングロールベールサイレージを冬期に給与するのであれば、 小規模繁殖牛飼養農家でも取り扱いが容易で変敗も少ない (表3)
|
成果の活用面・留意点 |
- 乾草よりも省力・低コストで生産可能な低水分ロールベールサイレージを
小規模飼養農家に供給できる。
- (1)ホクシュウの1番草は倒伏しやすいので、出穂開始期までに刈り取る。
(2)低標高のチモシー草地では夏草の雑草が進入しやすいので草地管理に努める。 (3)ロールベールの配達システムの充実が必要である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
病害虫
季節変動
経営管理
雑草
中山間地域
低コスト
肉牛
繁殖性改善
品種
|