牛ヒレの品質向上のためのと畜・解体方法

タイトル 牛ヒレの品質向上のためのと畜・解体方法
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1994~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約 肥育牛をと畜する場合に、延髄・脊髄破壊処理を中止するか、解体後直ちに腎臓脂肪を除去し、冷却することで牛ヒレ肉の品質が改善される。
背景・ねらい 本国のように大きく肥育された肉牛では、
と畜直後の大腰筋のpHが諸外国の報告と比較して低い値を示す傾向がある。
これは豚肉で問題とされるむれ肉が発生する条件と類似しており
食肉としての品質の低下が懸念される。そこで、と畜直後に低pHとなる原因を調べ、
ヒレ肉の品質向上のためのと畜・解体方法について検討した。
成果の内容・特徴 肥育牛のと畜時に行われる延髄・脊髄破壊処理は、
ヒレ肉の痙攣を誘発し急激なATPの消費とpHの低下を引き起こす。
さらに、ATP再生の原料であるクレアチンリン酸も消失する
(表1、破壊区)。従って、
ヒレ肉はむれ肉状態となる(図2、対照区)。
この問題を解決するには、次の2つの方法が考えられる。
  1. と畜時の痙攣を抑制する。
    と畜時の延髄・脊椎破壊処理を中止すると
    pHの急速な低下をある程度抑制することができる。しかし、
    pHのばらつきが大きくなる(表1、非破壊区)。
    これは延髄・脊髄破壊処理の中止によっても
    急速なpH低下を抑制できない個体が存在することを意味する。
  2. ヒレ肉の冷却を促進する。
    解体直後の枝肉から腎臓脂肪を除去してヒレ肉の冷却を促進すれば、
    むれ肉症状を抑制することができる。ここでは除去後、流水(10~14度C、14L/min)
    を5分間流して冷却効果を高めた(図1)。
    本方法がヒレ肉の理化学的変化及び官能検査結果に及ぼす影響は以下の通りである。
    • 貯蔵中の肉汁の流出が抑制され、熟成後のヒレ肉の水分含量が有意に高くなる
      (図2)。
    • 食肉は若干堅くなる(図2)。
      しかし、ヒレ肉は元来軟らかい部位であり官能的に問題となることはない
      (表2)。
    • 水分含量が多いためクッキングロスが多くなる
      (図2)。
    • 水分含量が2.9%以上改善されると官能的に好ましくなったと判断される
      (表2)。
    • むれ肉症状が抑制されるため、色調がやや暗くなる
      (図2)。
成果の活用面・留意点 腎臓脂肪を除去する場合に、ヒレ肉が完全に露出すると肉が乾燥する危険がある。
また、水分含量が高いために展示中のドリップロス及びクッキングロスが多くなる。
しかし、これは腎臓脂肪除去を行わなかったヒレ肉の水分は
すでに熟成中に流出したためである。
上記の1.と2.を併用することでより良い効果が期待されるが、
解体作業に時間を取られ、ヒレ肉の冷却が遅れないようにする必要がある。
図表1 231214-1.gif
図表2 231214-2.gif
図表3 231214-3.gif
図表4 231214-4.gif
カテゴリ 乾燥 肉牛

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