タイトル |
多積雪地における大規模果樹作家族経営の成立条件 |
担当機関 |
秋田県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
多雪リンゴ主作地帯における家族労働力だけの大規模果樹作経営では、労働力に見合った樹園地構成のもとで、台車、SS等の機械利用による省力、軽作業化を図り、共同選果場等の組織体制の確立が労力的側面からの必須条件である。
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背景・ねらい |
リンゴ主作地帯では雇用難のため、家族労働力のみの大規模果樹作経営では、摘果、 摘葉、収穫作業の労働ピークを克服する樹園地の構成、作業方式が必要となる。
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成果の内容・特徴 |
- 省力管理のための樹園地構成と技術体系:
家族労働力による大規模果樹作経営では、安定収量・高品質生産を維持しながら、 台車、SS等の機械利用に適応した栽植距離、樹高とする。 品種構成は、経済的に有利なふじを中心としながら、 労働の分散のため収穫期の異なる品種を導入する。 着果の確保と摘果作業では、受粉樹の植栽、マメコバチの飼育と放飼、 必要な着果数を残す摘果技術の導入によって、省力化を図る。 収穫作業と競合する摘葉作業では、 この種作業が不要なナシ類や黄色品種の比率で作業量の調整ができる (表1、図)。
- 農業機械の装備:
作業台車、SS、乗用草刈り機等の装備で省力・軽作業化を図る。 機械利用の大半を占める台車利用は、摘果、摘葉作業中心であるが、 台車上に収穫箱を積む作業の工夫で、収穫作業にも利用され、省力化に加え、 蓄積疲労が軽減され、健康管理面の改善により持続的経営のための効果も大きい (表2、表3)。
- 共同選果・販売、共同防除の組織化:
T農家の位置する産地では、'58年から共選場が、 '56年以降6共同防除組合が組織されている。 短期間に多くの労働力を要し、個別では大量販売が難しい選果・包装・販売では、 大規模果樹作経営の労働力・流通対応機能を補完する選果場の役割が重要である (図)。 共同防除組織も、省力・低コスト化と同時に、 地域全体での実施による防除効果を高める点で意義が大きく、 家族労働力のみの大規模果樹作経営にとって このような組織的活動は必須条件である。
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成果の活用面・留意点 |
機械の効率的利用では、樹園地の傾斜是正や周辺道路整備も重要であり、 こうした面では地域的な取り組みが必要である。 設備の近代化が進んでいる共選場では、有利な流通対応策が、 リンゴ農家が複数の組合に加入している共防では、組織の再編策等、 組織活動における課題への取り組みも重要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
経営管理
受粉
省力化
低コスト
品種
防除
りんご
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