タイトル |
酒造好適米新品種「岩南酒13号」 |
担当機関 |
岩手県農業研究センター |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
水稲「岩南酒13号」は、岩手県では中性の晩の酒造好適米である。障害型耐冷性が強く、大粒で心白の発現が多く、醸造特性は「美山錦」に優る。1999年から岩手県で奨励品種として採用された。
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背景・ねらい |
岩手県で栽培されている酒造好適米「美山錦」は心白の発現率が低く、 耐倒伏性、耐冷性も不十分で生産が不安定であり、生産者・実需者の双方から、 良質で安定生産のできる酒造好適米品種が強く要望されている。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲「岩南酒13号」は1991年に岩手県立農業試験場県南分場において、
「山形酒49号」(後の「出羽燦々」)を母とし、 「秋田酒49号」を父として交配し、その後代より育成した系統である。
- 「岩南酒13号」の出穂期、成熟期は「美山錦」並からやや遅い“中生の晩”
である。稈長、穂長は「美山錦」よりやや短く、 穂数は「美山錦」並からやや少ない。草型は“穂重型”で、 耐倒伏性は「美山錦」よりやや強い“中”、収量性は「美山錦」並である。
- いもち病真性抵抗性遣伝子型は'Pia'と推定され、
圃場抵抗性は葉いもちは“中”、穂いもちは“やや弱”、 障害型耐冷性は「美山錦」より強く“強”、穂発芽性は“やや難”である。
- 玄来は粒厚が「美山錦」より厚く、玄米千粒重も「美山錦」より重い。
玄来の外観品質は心白の発現率が「美山錦」より高く、粒張り、粒揃いも良く 「美山錦」より良質である。
- 70%精来の吸水は「美山錦」より早く、蒸米吸水率も「美山錦」より高い。
粗タンパク質含有率は「美山錦」より低く、醸造特性は「美山錦」に優る。
- 製成酒の鑑評結果は「美山錦」に優る。
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成果の活用面・留意点 |
- 岩手県では「美山錦」対象として1999年より奨励品種に採用され、
普及見込み面積は200haである。
- 施肥量は「美山錦」に準ずる。また、倒状を裂けるため追肥時期は
減数分裂期を基本とし、玄米のタンパク質含量率が高まるので出穂期以降の 追肥はしない。
- 穂いもち抵抗性は'やや弱'なので、葉いもちの発生に留意し、
適期防除に努める。
- 「美山錦」にくらべて粒厚が厚いので、高品質米生産のため調整は
2.1mmの篩いを使用する。
表1 特性一覧表 表2 酒造特性一覧表 表3 試験醸造酒鑑評結果 表4 心白形状調査
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
酒造好適米
新品種
水稲
施肥
抵抗性
品種
防除
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