| タイトル |
水田の有機物連用効果の多項式による解析 |
| 担当機関 |
東北農業試験場 |
| 研究期間 |
1968~1998 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
1998 |
| 要約 |
水稲の窒素吸収量の推移に多項式を当てはめることで、有機物連用効果の解析が容易となり、それぞれの有機物の長期的な施用効果を推定することができる。
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| 背景・ねらい |
環境保全的見地等から、水田においても有機物資源の有効利用を進めるには、 化学肥料の代替物としての有機物についてその長期的な施用効果を定量的に 評価する必要がある。しかし、 これまでは短期の施用効果についての取り組みが中心であり、 長期的観点からの検討は少なく、その解析手法も少ないという状況にある。 そこで、 水稲の窒素吸収量の推移に多項式を当てはめて解析する方法について検討した。
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| 成果の内容・特徴 |
- 稲わら堆肥の連用に伴う、
水稲の窒素吸収量の年次推移に多項式を当てはめることで、 気象変動や堆肥の質の違いなどによる年次変動の影響が小さくなり、 施用量ごとの比較が容易となる (図1)。
- 堆肥施用区から堆肥無施用区の窒素吸収量を差し引くことで、
堆肥のみの効果を比較する場合にも多項式の当てはめによって、 比較が容易となる (図2)。
- 堆肥のみの効果を、多項式だけ抜き出して比較すると、
施用初期は施用量が多いほど窒素吸収が抑制される傾向にあることや、 何れも連用13年目頃に吸収量のピークが見られ、 このときの窒素吸収量の増加量は施用量によって異なることがわかる (図3)。
- 堆肥と同様に稲わら連用についてもその効果を見ると、
当初の3年間くらいは窒素吸収が抑制されるが、 連用13年目頃に吸収量がピークとなる (図4)。 堆厩肥の場合にも、 同様に吸収量のピークが認められる。
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| 成果の活用面・留意点 |
- この成果は、秋田県大曲市の灰色低地土水田で得られたものである。
- 多項式を当てはめる場合、
次数ごとの自由度調整済み決定係数と分散比(F値)を参考にして、 多項式の両端での変勤が少ない次数を選択する。また、 施用量の違いによる効果を比較する場合には、 それぞれの間で統計的に有意であることを確認する必要がある。
- 窒素の場合と同様に、水稲のリン酸やカリ、
ケイ酸吸収量の推移についても堆肥施用の効果を、 多項式を当てはめて比較することが可能である。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| 図表4 |
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| カテゴリ |
肥料
水田
水稲
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