タイトル |
汎用水田の生物的窒素固定等による窒素富化の特徴 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
汎用水田の湛水に伴う土壌窒素の富化効果は、1~3gm-2程度あり、土壌処理では、わら表面施用>代かき処理>わら混入処理の順で効果が高く、いずれも転換畑で効果か大きい。また、窒素富化量と湛水培養窒素とは負の直線関係にあり、培養窒素量が多いほど富化量は少なくなる。
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背景・ねらい |
水田においては、 湛水に伴う生物的窒素固定や無機態窒素の有機化等によって土壌に窒素が 富化されるという特殊な機能が働いている。一方、 畑地においては窒素成分などの流出による問題が指摘されているという状況にある。 そこで、 水田における特殊な機能を活用した低投入の環境保全型水田畑作栽培を行うために、 汎用水田における窒素富化の特徴について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 底に網を着けたポリ容器に土壌(灰色低地土と黒ボク土)
を詰めて水田に設置し、約 3.5ケ月後に取り出して、 土壌を表層1cmとそれ以下の下層に分け、表層と下層の全窒素含有率の差を求め、 この差と表層の乾土重の積から窒素富化量を求め、面積当りに換算して比較する。 施用開始時の稲わら中の窒素分は差し引く。 〔窒素富化量(gm-2)=(表層の乾土重×窒素含有率の差(表層‐下層))/容器面積〕
- 湛水に伴う土壌の窒素富化量は1-3gm-2前後であり、
代かきや稲わらの混入、稲わらの表面施用によって増加する (図1)。 増加割合はいずれも転換畑で大きく、わら表面>代かき>わら混入の順となる。 代かきでは無処理での富化量が少ないほど代かきの効果が大きい傾向にある (図2)。 わら表面施用では、水田全体で約3割、転換畑では約8割、無処理よりも増加する (図3)。
- 施肥によって土壌中の無機態窒素濃度は6月上旬には高まるが、
窒素富化効果にはほとんど影響がない。
- 窒素富化量は、水田の稲わらや厩肥連用土壌を除くと湛水培養窒素量
(30度C、28日間 )と直線的な関係が認められ、 培養窒素量が多いほど富化量は少なくなる傾向を示す。このような関係は、 稲わら表面施用の場合にも認められる (図4)。
- 測定に用いた土壌の表層と下層の風乾土壌を湛水培養(30度C、28日間)し、
表層と下層の培養窒素量の差から面積当りの無機化量を求め、 富化量に対する割合として表す。そして、 この無機化割合と富化量との関係を比較することにより、 富化窒素の無機化割合は35%前後であることがわかる。
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成果の活用面・留意点 |
- 地域や土壌条件、気象条件、稲わら施用量などによって富化量は変動する。
- 転換畑の可給態窒素量の推移をもとに、
復元田において稲わら表面施用不耕起栽培等を行うなど、 窒素富化を活用した栽培技術に役立てることができる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
栽培技術
水田
施肥
土壌処理
不耕起栽培
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