タイトル |
水田雑草ミズアオイにけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性の遺伝様式と他殖による拡散 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
スルホニルウレア系除草剤抵抗性ミズアオイは、感受性型に比べて72~112倍の抵抗性を示し、その抵抗性形質は完全優性の1遺伝子によって支配される。本種は10~68%の他殖率(昆虫媒介)を有するため、感受性集団にも拡散する危険性が高い。
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背景・ねらい |
近年北海道・東北各地で出現しているスルホニルウレア系除草剤抵抗性水田雑草の 生物型の適応性と抵抗性の拡散様式を明らかにするために、 ミズアオイを材料にして、 抵抗性形質の遺伝様式と他殖による拡散の様相を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 抵抗性生物型ミズアオイのベンスルフロンメチル、イマゾスルフロン、
シクロスルファムロンに対する抵抗性は、 同種の感受性型のそれぞれ112、98、72倍であった (表1)。
- 感受性生物型ミズアオイの自殖後代は全て感受性であったのに対して、
抵抗性生物型の自殖後代及び両型の正逆交配によるF1個体は全て抵抗性であった。 F1個体の自殖によるF2個体は抵抗性と感受性が3:1に分離し、 F1と感受性親の戻し交配個体は1:1に分離した (表2)。 すなわち、異質4倍体であるミズアオイては、 SU剤抵抗性形質が完全優性の1遺伝子によって支配されている。
- 戸外のミズアオイ実験集団では、
主にセイヨウミツバチが媒介する他殖によって抵抗性形質が花粉とともに 感受性集団に運ばれ、 感受性個体から得られた後代の抵抗性の割合は10~65%となった (表3)。 推定他殖率は 10.4~67.7%である。
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成果の活用面・留意点 |
- ミズアオイにおけるSU剤抵抗性の遺伝様式と拡散は
本種の抵抗性集団の動態研究に利用できる。
- 除草剤抵抗性が花粉によっても広がるという情報は、
抵抗性集団が発生する周辺の水田における 雑草防除法策定の際の考慮事項として活用される。
- アゼナ類やイヌホタルイなど他の草種のSU剤抵抗性の拡散については、
種毎に遺伝様式と繁殖様式の検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
除草剤
水田
抵抗性
繁殖性改善
ミツバチ
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