| タイトル |
小麦系統「東北205号」への窒素追肥が製パン適性に及ぼす効果 |
| 担当機関 |
東北農業試験場 |
| 研究期間 |
1996~1998 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
1998 |
| 要約 |
小麦系統「東北205号」では、60%粉の粗タンパク含量12%に増加するまで、窒素追肥によって、セディメンテーション値、グリアジン及びグルテニン含量、ファリノグラムやエキステンソグラムの生地物性値及びパン比容積が向上する。特に、出穂期~開花1週間の追肥が、粗タンパク含量とパン比容積を安定的に増加させる。
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| 背景・ねらい |
小麦の粗タンパク含量は、窒素追肥等によって増加するが、増加した粗タンパク含量が製パン適性に寄与するかについては、十分明らかになっていない。そこで、東北農試で育成したパン用系統「東北205号」について、窒素追肥がタンパク組成や製パン適性に及ぼす効果を明らかにする。
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| 成果の内容・特徴 |
- 転換畑(前作ナタネ)で栽培した小麦系統「東北205号」では窒素追肥によって、60%粉の粗タンパク含量、セディメンテーション値、グリアジン及びグルテニン含量、ファリノグラムの生地形成時間、生地の安定度、バロリメーター・バリューが増加する。エキステンソグラムの伸張度は、融雪期から開花1週間後までの間に追肥することによってやや増加し、300g製パン試験の比容積及びパン内層の白度はどの時期の追肥によっても増加する (表1)。
- 粗タンパク含量とパン比容積の関係を検討すると、出穂期~開花l週間後の追肥が粗タンパク含量及びパン比容積を安定的に増加させる (図1)。
- 平成8、9年東北・北陸地域各県の奨励品種決定調査圃場及び平成6年岩手県農業試験場産の小麦についての70g製パン試験の結果、「ナンブコムギ」及び「コユキコムギ」についても「東北205号」とほぼ同様に、粉の粗タンパク含量12%以下の範囲では、粗タンパク含量の増加に伴いパン比容積が大きくなる傾向が認められる (図2)。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 窒素追肥時期試験は畦間20cmのドリル播(150株/㎡)を行い、基肥量はN-P2O5‐K2O各成分で4-4-3kg/10a、追肥量は各時期に硫安でN成分5kg/10aである。3反復平均収量は523~594kg/10aの範囲にあり、追肥処理による収量及び収量構成要素に有意な差異は認められない。
- 製パン試験方法は、300gあるいは70gの60%粉を使用する中種生地法である。
- 東北205号は、コユキコムギに比べ、エキステンソグラムの伸張抵抗が高く、製パン時の生地が扱いやすい特徴がある。
- 東北205号は、60%粉の粗タンパク含量12%まで、粗タンパク含量の増カ加に伴いパン比容積が増加するので、粗タンパク含量を上げるための追肥が不可欠である。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| カテゴリ |
小麦
なたね
品種
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