幼植物の生育不良要因としての土壌微生物性の関与を簡易に推定する方法

タイトル 幼植物の生育不良要因としての土壌微生物性の関与を簡易に推定する方法
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1998~2002
研究担当者
発行年度 1998
要約 幼植物の生育の悪い土壌と物理・化学性に問題のない殺菌土壌を1:4の比率で混合する。2週間静置した後、同じ植物を栽培した場合、初期生育の悪さが再現された場合には畑土壌の微生物性がその植物の生育不良要因であると推定される。
背景・ねらい 土壌微生物性に起因する畑作物の生育障害が増加していることが危惧されている。
しかし、土壌は物理性、化学性、生物性が複雑に相互作用を及ぼしているため、
要因解析は容易ではない。そこで、
顕著な病状が認められなくても畑作物の初期生育が遅延する場合に、
微生物性の関与の有無を簡易に推定するための方法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 検定土壌と物理・化学性の良好な殺菌土壊(洗浄した
    A社園芸培土を2mmのふるいを通してオートクレーブで1時間殺菌)
    を1:4の比率で混合し、2週間静置する。対象となる畑作物を播種し、
    生育の良否を観察する
    (図1)。
    初期生育の悪さが再現された場合には
    畑土壌の微生物性がその植物の生育不良要因であると推定される。
  2. EC 0.0~2.0mS/cm、pH4.0~7.2の検定土壌を洗浄した殺菌土壌と混合すると
    ECは0.4~1.0mS/cm, pHは5.4~6.7となる
    (図2)。
    これら及び他の理化学性が畑作物の初期生育に
    及ぼす影響は小さくなると考えられる。
  3. 土壌のリン脂質脂肪酸組成から推定される土壌微生物の種類構成は
    検定土壌の混合割合が、20%以上あれば比較的一定である
    (表1)。
  4. 例としてモロヘイヤの場合、
    その生育が抑制される場合には根の伸長が抑えられ、
    かつ根が褐変することから、土壌微生物によって根が損傷していると推察される。
  5. 殺菌土壌として3つの異なる土壌を用いた場合、
    供試した土壌の中ではモロヘイヤの生育は
    黒ボク土<花崗岩未熟土<A社園芸培土であった
    (図3)。
    このように、供試した殺菌土壌が特定の畑作物の生育に
    及ぼす影響を検討することも可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 線虫等の土壌動物及び病原菌の影響については評価していない。
  2. 個々の微生物種の混合土壊での増殖と活性は用いる殺菌土壌で
    異なる可能性がある。
  3. 供試作物に応じてポットの大きさを変える。その生育に見合う養分を施肥する。
図表1 231299-1.gif
図表2 231299-2.gif
図表3 231299-3.gif
図表4 231299-4.gif
カテゴリ 施肥 播種 モロヘイヤ

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