タイトル |
リンゴわい性樹の結実部位の低下による省力型低樹高栽培法 |
担当機関 |
岩手県農業研究センター |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
樹齢が進み、枝葉が混み合ったリンゴわい性樹を対象とした省力型樹形として、主幹の切り下げと下部側枝の拡大により結実部位2~2.5m程度の低樹高化が可能となり、作業性向上が図られる。
|
背景・ねらい |
岩手県ではリンゴわい化栽培の導入・ 奨励が始まってから20年以上が経過している。 樹齢が進むにつれ「ふじ」などでは、強樹勢化や高収量をねらった高樹高化など、 作業性の低下・果実品質の低下がみられる。 そこで、低樹高化による管理作業の省力化を図るため、 既存樹を用いて樹高の切り下げにより結実部位を2~2.5mとし、 作業性の向上と脚立を使わないなどの作業環境の改善による軽労化について検討した。
|
成果の内容・特徴 |
- 成木に達した樹の樹高を下げるには、下部側枝を長大化させることで、
樹勢をコントロールする必要がある。このため、 間伐を実施することが必須条件である。
- 低樹高仕立て法の手順
(図1)- 樹高の切り下げ処理は、樹勢に応じて対応することとし、
「ふじ」等にみられる強樹勢樹は、一挙に切り下げるのではなく、 2~3年かけて徐々に切り下げる。
- 初年目の処理は、樹勢をコントロールするために、
誘引等により下部側枝の先端をやや斜立させ拡大を図る。
- 配置する下部側枝の本数は2~4本とする。
- 骨組みとなる側枝の配置は受光体制を考慮し、なるべく南側の側枝は低く、
北側に位置する側枝はこれより高く配置する。 これらの側枝に成り枝を配置し枝に厚みを持たせる。
- 骨組みとなる下部側枝より上部には、
下枝に邪魔にならない小さめの成り枝を数本配置する。
- 主幹延長枝の取り扱いは、目標とする高さの位置で毎年切りもどすが、
樹勢が落ち着いた後、せん除し、最上部を成り枝としても良い。
- 低樹高化により、品質が低下することなく
(表1)管理作業のほとんどが、地上部 で行われ、省力化及び軽労化が図られる。省力の程度は年によって異なるが、 摘果作業で約30%、着色管理で約20%、収穫作業では約10%程度となる (表2)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本法による樹形構成は「王林」
のような直立性の強い品種には適用が困難である。
- 下部側枝を長大化する低樹高化を実施した場合、
年次を重ねるとともに隣接樹との枝の交差が現れる。 樹勢の維持が困難になった場合は、改植を行う。
- 低樹高化の実施後数年間は、結実部位の低下により、
結実する樹容積が小さくなり、 収量が低下することがある。
- 樹高の切り下げを行った当年は、その程度により強樹勢化がみられるため、
徒長枝のせん除など夏期管理を徹底し、花芽の確保に努める。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
改植
軽労化
省力化
低樹高
品種
りんご
わい化
|