タイトル |
ジュース向き加工用トマトの多収性新品種候補’盛岡交29号’ |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
'盛岡交29号'は`さきこま'を上回る多収性と果実品質を持ち、ジョイントレス果柄を持つため省力収穫が可能で、萎ちょう病・半身萎ちょう病に対する複合病害抵抗性を持つ、ジュース向き加工用トマトである。
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背景・ねらい |
加工用トマトの生産コスト低減のため、 野菜・茶業試験場(盛岡)では'さきこま'を育成して平成8年度に登録したが、 さらなる改良が求められていた。 そこで'さきこま'を上回る多収性と果実品質を持つ 加工用トマトの実用品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過:平成元(1989)年より、トマトの高品質・省力適性素材の選定とF1組み合わせ能力検定を実施した。この試験において、
野茶試(盛岡)で育成した系統とフランス国立農業研究所(INRA)からの導入品種とを 用いたF1が多収で糖度が高く他の形質も優れていたため、 '盛岡交29号'の系統名を付した。 平成8(1996)年より平成10(1998)年まで特性検定試験・系統適応性検定試験を 実施した結果、収量・果実形質・病害抵抗性等について優秀性が認められ、 ジュース加工用に有望であると評価されたため、命名登録品種候補とした。
- 心止まり型で、無支柱省力栽培に適する。開張度はやや大きい。
熟期は中生~やや晩生である。現在の主要品種である'NDM051(一挙収穫用)、 カゴメ77(手取り収穫用)'はもとより、 多収性と評価される'さきこま'と比較してもさらに収量が多い (表1、表3)。 また、ジョイントレス果柄を持つため、 一挙収穫・手取り収穫のいずれでも省力化が可能である (表2)。
- 果実は60~70gのほぼ球形で'さきこま'と同程度に堅く、
さらに裂果も少ないため、圃場貯蔵性に優れる。糖度は'さきこま'より高く、 酸度は同程度で、ジュース加工適性は高い (表2)。
- 防除の難しい土壌伝染性病害である萎ちょう病(レース1・2)と
半身萎ちょう病に対する複合抵抗性を有する。
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成果の活用面・留意点 |
- ジュース加工用品種で、国内の露地無支柱栽培地帯に適する。
- 機械化(あるいは手振い)による一挙収穫もしくは2~3回の手取り収穫に適する。
- 低温下では生育の遅れる可能性があるので、育苗期の温度確保を心がける。
また、栽培適期を守り、生育期間を十分に取る。
- 一挙収穫の前に、一度手取り収穫を併用すると、腐敗果が減って収量増につながる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
加工
加工適性
機械化
コスト
省力化
新品種
多収性
茶
抵抗性
トマト
病害抵抗性
品種
防除
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