タイトル |
大規模小麦集団転作の成立条件 |
担当機関 |
岩手県農業研究センター |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
大規模小麦集団転作の成立条件は、(1)地域で土地利用調整を行い転作団地を形成し、そこでの転作を担い手農家組織に一括受託させること、(2)転作田所有者及び転作受託者が互いにメリットを享受できる収益(生産調整助成金等を含む)配分方式をとることである。
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背景・ねらい |
水田農業の早期確立のため、転作でも収益を確保する必要がある。そこで、 地域で大規模転作団地を形成し、 担い手農家組織が転作を受託する方式による集団転作の成立条件を明らかにする。 今回は機械装備面で水田地帯に円滑に導入可能な小麦について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 大規模転作団地を形成するためには、
地域の全水田所有者が参加する土地利用調整組織をつくることが必要である。
- 団地を形成する作業は土地利用図(図1)を作成し、
これを活用しながら行う。
- 団地固定型=水稲作業受委託による農用地利用集積が進展している地域の場合。
水稲作業の受託農家(=担い手農家)が自己の転作田に、 委託農家の水田を転作田として連担させることにより転作団地を形成できる。
- ブロックローテーション型=農用地利用集積が停滞していて、
地域農家の転作機会均等を重視する場合(図2)。 ブロックを形成する上では、次のような配慮が必要。 (ア)予め1巡分のブロックをつくっておく (イ)所有水田の全てが同一ブロックに入る農家を少なくする、 (ウ)同一水田における転作期間を短くする。
- 大規模小麦集団転作が成立するためには、下表のように、
転作田所有者と転作受託者が共にメリットを享受できる 収益配分方式とすることが必要。転作受託者は、稲作の3~7倍に及ぶ労働生産性 (1時間当り所得)を発揮させることで土地純収益を確保でき、 小麦転作を水田農業の一部門として確立することが可能となる (表1、表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 労働生産性向上のためには、転作受託者が組み作業を行うとともに、
畦畔の管理は転作田所有者が行うことが必要。また、土地生産性向上のためには、 団地毎に責任者を決め、そこでの収量(出来高)に応じて小麦販売代金を配当するのが 有効である。
- 小麦播種と稲刈の競合を避けるため、小麦播種を稲刈り前に実施することや、
水稲品種を中生へ切りかえるといった対策が求められる。
- 団地固定では連作障害対策、ブロックローテーションでは排水対策がそれぞれ必要。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
小麦
水田
水稲
播種
品種
連作障害
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