タイトル |
早生、大粒、多収の酒造好適米水稲新品種系統「岩手酒52号」の育成 |
担当機関 |
岩手県農業研究センター |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
水稲「岩手酒52号」は、早生、大粒、多収の酒造好適米系統である。本系統の醸造特性及び酒質は「美山錦」と同等であり、酒用原料米として有望である。岩手県で奨励品種に採用した。
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背景・ねらい |
岩手県中北部の生産者から、うるち米、もち米以外の用途の異なる品種による 「地域の特徴ある米づくり」を支援する品種が要望されている。 そこで、岩手県中北部向けの早生、多収で醸造特性、酒質の良い酒造好適米品種の 育成を進めてきた。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲「岩手酒52号」は、平成2年に旧岩手県立農業試験場(岩手県滝沢村)において、
早生の酒造好適米品種の育成を目標に、「秋田酒44号」を母に、「東北141号」(後の 「こころまち」)を父として育成された。
- 出穂期は「美山錦」に比べ5日早く、成熟期は10日程度早い。熟期は、岩手県では
"早生の中"の粳種である。
- 稈長・穂長とも「美山錦」に比べ短い。穂数は「美山錦」に比べ多く、"偏穂数型"である。
稀に極短芒を生じ、ふ先色は黄白色、粒着密度は"中"、脱粒性は"難"である。 稈はやや太いが、やや柔らかく、耐倒伏性は「美山錦」並の"中"である。
- 玄米千粒重は「美山錦」に比べ重く、玄米の形状は"やや円"、玄米の大きさは"大"
である。収量性は「美山錦」に比べ明らかに多収である。心白の発現は「美山錦」に 比べるとやや少ない。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pi a、Pi i"と推定され、
圃場抵抗性は葉、穂とも"やや強"である。障害型耐冷性は"中"で、 「美山錦」に比べると弱い。 穂発芽性は"中"である。
- 醸造特性は「美山錦」とほぼ同等である。醸造酒はきれいな、すっきり型の酒質である。
表1.特性の一覧、 表2.醸造特性
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成果の活用面・留意点 |
- 岩手県が奨励品種に採用し、普及見込み地帯は、県中北部地帯。普及見込み面積は、
600haである。
- 「美山錦」に比べ障害型耐冷性が弱いので、出穂を早めるような早植えや多肥を避け、
幼穂形成期、減数分裂期の低温時には深水管理を行う。
- 「美山錦」に比べ穂発芽し易いので、遅刈りとならないよう適期に刈り取りを行う。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
いもち病
酒造好適米
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
なす
品種
水管理
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