タイトル |
極早生、良質、良食味水稲新品種「山形71号」 |
担当機関 |
山形県立農業試験場庄内支場バイオ育種部 |
研究期間 |
1999~2002 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
「山形71号」は、極早生の粳種で、いもち病抵抗性、耐冷性及び耐倒伏性がやや強の、良質、良食味系統である。山形県の山間部での安定生産と食味の向上を図るため、2000年から「みちのくわせ」に代えて奨励品種に採用する予定である。
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背景・ねらい |
山形県の山間部では、1988年に「みちのくわせ」が開発されたものの、その品質・食味 は不十分で、作付面積は最大36ha(1990年)に止まった。さらに、この地帯では冷害の 危険性が高いにも拘わらず、市場性を優先して「あきたこまち」が作付されている現状 にある。また、来年度から中山間地に対する直接支払制度がスタートすることからも、 山間地適応性の優れた新品種が求められている。そこで、極早生、良質、良食味の 新品種を開発し、この地帯の米の安定生産と品質・食味の向上を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲「山形71号」は、1992年に山形県立農業試験場庄内支場で、「山形40号」を母とし、
「奥羽341号」を父として交配し、その後代から育成した系統である。1998年、F8世代 から「山形71号」の系統名を付し、奨励品種決定調査で適応性を検討してきた。
- 育成地における出穂期、成熟期は、「みちのくわせ」並の極早生の粳種である。
「みちのくわせ」に比較し、稈長、穂長はやや短く、穂数は多い中稈偏穂重型の草型 である。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は、Pi-a、i と推定され、圃場抵抗性は
葉いもち、穂いもちともやや強である。耐冷性は「みちのくわせ」より強い"やや強"で、 穂発芽性は中である(表1)。
- 玄米千粒重は「みちのくわせ」より小さく、品質は「みちのくわせ」より明らかに優れる。
収量性は「みちのくわせ」より高く、食味は「みちのくわせ」よりかなり良好で、「ササ ニシキ」に近い良食味である(表1)。
- 直播栽培における苗立生、収量性は「はなの舞」を上回り、品質は「はなの舞」並で、
平坦部の直播栽培への導入も期待される(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 山形県で「みちのくわせ」に代えて奨励品種に採用する予定である。山形県の山間部を
対象に、350ha程度の普及面積が見込まれる。
- いもち病抵抗性及び耐冷性は"やや強"と不充分である。このため、いもち病の
早期発見早期防除を心掛けるとともに、障害型冷害危険期の深水管理をはじめとした 水管理に留意する。
- 品質、食味の低下、いもち病及び障害不稔の発生を助長する過度の多肥栽培はしない。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
直播栽培
新品種
水稲
中山間地域
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
品種
防除
水管理
良食味
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