タイトル |
酒造好適米品種「夢の香(福島酒2号)」の育成 |
担当機関 |
福島県農業試験場育種班 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
水稲「夢の香」は、耐倒伏性、耐冷性などの栽培特性や醸造適性が従来の「五百万石」より優れる、心白の発現が良好な良質の酒造好適米品種である。2000年度から福島県の水稲奨励品種に採用する。
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背景・ねらい |
福島県の酒造好適米の主要品種である「五百万石」は耐倒伏性や耐冷性が弱い品種 である。また、最近の高級酒ブームは酒造好適米の供給不足を招き、本県の酒造 業界では原料米需要のおよそ30%を他県からの移入によって補完している。 このため、酒造業界から「五百万石」並、またはこれに替わりうる本県独自の酒造 好適米品種を強く要望されている。
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成果の内容・特徴 |
- 「夢の香」は福島県農業試験場において、「五百万石」に替わる良質な酒造好適米品種
を育成する目的で、1991年、「八反錦1号」を母、「山形酒49号」(のちの「出羽燦々」)を 父として人工交配し、育成された系統である。
- 出穂、成熟期は「五百万石」よりやや遅い"中生の早"に属し、稈長、穂長は
「五百万石」より短く、穂数は並からやや多い。草型は"穂重型"である(表-1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子はPi-a と推定され、圃場抵抗性が葉いもち、
穂いもちとも"中"である。
- 耐冷性は「五百万石」よりやや優る"中"、耐倒伏性は"やや強"である。
- 玄米は千粒重が「五百万石」並の大粒で、心白の発現が良好で外見上の品質は
「五百万石」より優る。
- 醸造適性は「五百万石」より吸水性が早い、砕米が少ないなど、原料処理がしやすい。
また、製成酒は味、香味とも良好で、総合的に「五百万石」を上回る酒質である (表-2、3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「五百万石」に比べ、強稈であるが穂発芽しやすいので、倒伏を招くような極端な
多肥栽培は避ける。
- いもち病の抵抗性は強くないので、適期防除に努める。
- 耐冷性を考慮し、出穂が過度に早まる可能性のある平坦部(県北、いわき)および
高冷地での作付けは控える。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
酒造好適米
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
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