タイトル |
水稲湛水点播栽培における4葉期落水による根の充実 |
担当機関 |
山形県立農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
湛水点播直播栽培において、苗立ち後の4葉期に落水することで地上部の乾物重は低下するが、落水前後の根は、湛水管理と比較して最大根長伸長量が約30%、根の乾物重増加量が約10%重くなり、生育初期の根の充実が図られる。
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背景・ねらい |
水稲直播栽培において安定した収量を得ている農家では、初期成育の安定および茎の 充実を確保するために、4葉期に落水を行っている事例がみられる。そこで、 生育初期の4葉期に落水を行うことで、根の伸長や充実にどのような影響がみられ、 その後の生育への効果を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 落水期間中の1.0mm以上の降雨は2回で、連続降雨がなく表面が黒乾亀裂状態で
あった(表1)。
- 湛水点播直播栽培において、4葉期に落水することで湛水管理と比較して根の最大
根長増加量が約30%、根の乾物重増加量が約10%、1茎当たりの乾物重の増加量は 茎数が抑制されることから約40%高まって根の充実が図られた。しかし、 地上部乾物重は約23%減少する傾向がみられたが、1茎当たりでは8%の減少に とどまった。これは、分けつ発生が開始される時期に落水で地上部が抑制される ことで、地下部の伸長が図られるためとみられる(表2、図1)。
- 落水後の生育は、湛水管理に比べて茎数がやや少なめに推移し、有効茎歩合が高まる
傾向がみられた(表3)。また、穂数や籾数は 湛水管理に比べて多くなり、やや増収した(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 4葉期落水前の耕種概要は、水稲品種「はえぬき」を供試して、平成11年4月下旬に
山形県農試改良打込点播機で播種し、直後落水で5月11日入水、5月12日除草剤散布で 5cm程度の深水管理後5月17日浅水(2cm)に切り替えて、5月28日落水処理を開始した 試験の結果である。
- 4葉期落水は、当面、苗立ちが多く生育過剰が予想される場合および出芽深が浅く
イネが不安定な場合に適用する。
- 播種後落水出芽を行う場合に適用し、落水出芽時に白乾亀裂等乾燥が進んでほ場が
固くなった場合は行わない。
- 苗立ちが80本/㎡未満の場合は茎数が抑制されるので行わない。
- 落水の乾燥程度は黒乾亀裂程度までとし、乾燥が進んだ場合は直ちに中止する。
- 降雨により落水の効果が高まらない場合でも、5葉期には落水を中止して茎数増加を
図る。
- 除草体系は出芽期の散布を基本とし、2葉期の除草は行わない。残草が多いほ場では
落水終了後5葉期に中期剤等で対応する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
直播栽培
除草
除草剤
水稲
播種
品種
水管理
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