米でんぷんの構造を制御する遺伝子座とアルカリ崩壊性遺伝子座の連鎖

タイトル 米でんぷんの構造を制御する遺伝子座とアルカリ崩壊性遺伝子座の連鎖
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 主にジャポニカ品種とインディカ品種間にみられる米でんぷんのアミロペクチン構造の違いは、一つの主働遺伝子によって制御されている。その染色体上の位置は、米でんぷんの糊化特性に関わるとされるアルカリ崩壊性遺伝子座に近い。
背景・ねらい 最近、イネ胚乳でんぷんのアミロペクチンには、構造が明確に異なる2つのタイプの
存在が明らかとなった(平10成果情報、Umemoto et al.,1999)。この違いはでんぷん
の特性、ひいては米の食味、加工適性等に影響を及ぼす可能性がある。これを
証明するには、アミロペクチン構造のみが異なる準同質遺伝子系統を選抜、
育成し、食味・加工適性試験等を行う必要がる。しかし、選抜にはアミロペクチン
構造を判定する簡便な手法が求められる。
これまでの知見より、アミロペクチン構造の変異は、イネ胚乳のアルカリ崩壊性の
原因である可能性がある。そのため本研究により両形質を制御する遺伝子座間の
強い連鎖が証明されれば、検定の容易なアルカリ崩壊性の調査により、目的とする
アミロペクチン構造を持つ系統の選抜が可能となる。
成果の内容・特徴
  1. 日本晴とKasalathのアミロペクチン鎖長分布には明確な差がみられ、日本晴は
    Kasalathより短鎖(重合度6~11)が多く、中鎖(12~23)が少ない(図1)。
  2. 日本晴とKasalathの戻し交雑後代自殖系統群(BILs)のアミロペクチン鎖長を
    分析し、短鎖/中鎖の比を指標として分類したところ、日本晴型とKasalath型に
    分離し、その分離比から1つの主働遺伝子が関与している(図2)。
  3. アルカリ崩壊性(alk)についても分析を行い(図3)
    、鎖長を制御する遺伝子とともに遺伝子座を決定した(図4)。両遺伝子ともに第6染色体短腕上の、極めて
    接近した位置に座乗することが明らかとなり、両遺伝子が同一である可能性も
    含めて、両者は強く連鎖している。
成果の活用面・留意点
  1. アルカリ崩壊性を利用した簡易検定法により、アミロペクチン構造の異なる系統の
    選抜が可能である。
  2. アルカリ崩壊性は、同一品種でも登熟期の温度によって変化することが
    知られている。また、ジャポニカ品種間のアルカリ崩壊性の違いは、alk遺伝子
    以外の要因も考えられる。
図表1 231433-1.gif
図表2 231433-2.gif
図表3 231433-3.gif
図表4 231433-4.gif
カテゴリ 加工適性 簡易検定法 品種 良食味

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