タイトル |
東北地域の水稲湛水直播における直播後落水管理の効果と適用条件 |
担当機関 |
岩手県農業研究センター |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
湛水直播の播種後落水管理は、出芽促進剤利用、播種深度3~10mm、播種後積算気温が90度C以上となるまでの継続を条件とし、播種後20日間の平均気温13.5度C以上の条件で苗立ち安定化に有効である。但し、後発ノビエの防除が必要な場合もある。
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背景・ねらい |
東北地域での湛水直播栽培の普及には出芽・苗立ちの安定化が重要である。 そこで、出芽・苗立ちに関わる播種後の水管理について東北地域各農業試験場間で 連絡試験を実施し、播種後落水管理の効果とその適用条件を圃場試験に基づいて 明らかにした。なお解析に供したデータ数は89試験例である。
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成果の内容・特徴 |
- 播種後20日間の地温は、1週間以上の落水管理により湛水区より約0.36度C程度低下
する。一方、酸化還元電位は、同じ処理で約160mV程度高くなる。
- 苗立ち率に及ぼす落水管理の影響は、過酸化カルシウムを主成分とする出芽促進剤
の種子被覆を行わない場合や播種深度が3mmより浅い播種条件、6日以内(播種後の 積算気温が90度C以下)の短期間の落水管理ではほとんど認められない(表1、2)。
- 播種(出芽)深度3~10mmとして出芽促進剤被覆種子を播種し、7日以上(播種後の
積算気温が90度C以上)の落水期間を設けた場合には、湛水条件に比較して 約10~20%程度の苗立ち率向上が得られる(表2)。 とくに播種後20日間の平均気温が13.5ないし16度Cの範囲で苗立ち安定化の効果が 大きい(図1)。
- 生育量については、草丈は落水管理で湛水よりやや上回る傾向が認められるが、
葉数は落水管理によってやや少なくなる(表2)。
- 雑草ではノビエの発生が多くなり、入水後に散布した除草剤の残効期間が短くなる
傾向がある。場合によっては茎葉処理剤の散布等、後発ノビエを対象とした 防除対策が必要である(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は東北地域における湛水直播栽培の安定化技術確立に資する情報である。
- 播種深度は出芽深度(苗立ち個体における茎基部の白色部位長)で推定した。
- 落水期間に降霜、降雹等があった場合には効果が不十分になることもある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
直播栽培
除草剤
水稲
播種
防除
水管理
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