pH6.2のリン酸緩衝液抽出による水田土壌の可給態ケイ酸の簡易評価法

タイトル pH6.2のリン酸緩衝液抽出による水田土壌の可給態ケイ酸の簡易評価法
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 pH6.2のリン酸緩衝液を使用する抽出法により、黒ボク土を除く水田土壌の可給態ケイ酸を評価できる。この方法は、従来の評価法である酢酸緩衝液法と異なり、ケイ酸質資材の施用による過大評価の問題が無く、より正確な評価が可能である。
背景・ねらい これまで、土壌の可給態ケイ酸の評価には、酢酸緩衝液抽出法が広く使用されて
きた。しかし、この方法では、ケイ酸質資材が施用された土壌に対して正確な
評価ができず、土壌管理上の大きな問題となっている。そこで新しい評価法
として、湛水保温静置法、逐次上澄液法、土壌溶液測定法、易溶出ケイ酸測定法等
が提案されたが、どの方法も一長一短があって、これまでのところ広く普及して
いない。そこで、土壌によるケイ酸吸着がリン酸吸着と競合関係にあることを
応用し、土壌固相に吸着保持されているケイ酸をリン酸緩衝液で置換し抽出する
簡便で正確な可給態計ケイ酸の評価法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 風乾土5gにリン酸ナトリウム緩衝液(40mM、pH6.2)50mLを添加し、5分間振とう後、
    40度Cで24時間静置し、再度5分間振とう後、ろ別し、溶液中のケイ酸を比色法等で
    測定する。
  2. ケイ酸資材が施用された土壌の場合、酢酸緩衝液法では可給態ケイ酸量が過大評価
    されたが、本法では過大評価されず、水稲のケイ酸吸収量と高い相関を
    示した(図1)。
  3. 山形県下の水田土壌151点について検討したところ、本法で抽出されたケイ酸量は、
    成熟期の水稲茎葉のケイ酸濃度と正の相関を
    示した(図2)。この相関は、灰色低地土、
    グライ土、強グライ土、褐色低地土では高かったが、黒ボク土では
    認められなかった。
成果の活用面・留意点
  1. 黒ボク土については、正確な評価ができない(図2)
  2. 抽出されたケイ酸の比色定量に際しては、共存する多量のリン酸による妨害を
    避けるため、モリブデン酸と酒石酸の添加量を、それぞれ従来法(土壌環境分析法、
    p.276、住田の方法)の2.5、3.75倍に増量する必要がある。
図表1 231436-1.gif
図表2 231436-2.gif
カテゴリ 水田 水稲 土壌環境 評価法

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