タイトル |
転換畑使用敷わら(稲わら)と本田初発由来のいもち病菌の類似性 |
担当機関 |
山形県立農業試験場 |
研究期間 |
1999~2003 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1999 |
要約 |
転換畑(スイカ栽培)で稲わらを敷わらとして利用している場合、敷わら作業が完了したほぼ1ヶ月後でもいもち病菌の胞子を形成する稲わらが見つかる。敷わら上のいもち病菌と遺伝子型が同一で、敷わらより飛散した胞子によるものと考えられるいもち病菌が、7月中旬に周辺水田の葉いもち病斑で確認され、敷わらが周辺水田での葉いもちの第一次伝染源になったと考えられる。
|
背景・ねらい |
本田周辺にある稲わらなどが、本田でのいもち病初発に関与すると考えられて いるが、未だ不明な点も多い。そこで、転換畑で敷わらとして使用されている 稲わらのいもち病罹病状況および本田での葉いもち調査により、本病の本田初発 との関係を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 転換畑のスイカ栽培で敷わら作業が完了してほぼ1ヵ月経過した6月下旬に任意に
稲わらを採取し、穂首節を中心に切りそろえ、常法に従い分生胞子の形成の有無で いもち病罹病の有無を判断した。その結果、採取した約1500本の稲わらから穂首節 の変色を目処に選んだ592本のうちの3本に分生胞子の形成を認めた。
- 60aの転換畑の敷わら上の任意の地点にイネ幼苗トラップ(ササニシキ1葉苗)4個を
6月下旬からほぼ1週間間隔で設置したところ、7月中旬に暴露したトラップで 葉いもちの発病を確認した(表1)。
- 転換畑周辺の水田で見取りにより葉いもちの発病調査を行った。その結果、
葉いもちの発生を最初に確認したのは7月23日 であった(表2)。
- 稲わらからの分離菌、幼苗トラップで捕捉した菌および本田での
初発(初確認)葉いもち病斑から分離された菌の類似性を、いもち病菌の散在型反復 配列であるPot-2のrep-PCRによるフィンガープリントを用いて検討した 結果(図1)、稲わらからの分離菌と同一クローン と考えられるいもち病菌が認められた(表3)。 敷わら上のいもち病菌が周辺水田での葉いもち発生の第一次伝染源になったものと 考えられる。
|
成果の活用面・留意点 |
- 分離菌株間のより細密な比較を行うためにはAFLP法によるDNAフィンガープリント
等を用いた精査が必要である。
- 調査対象となった転換畑以外あるいは敷わら以外の伝染源の存在を示唆するデータ
もあり、伝染源を特定するにはより広い範囲からのサンプリングによる再検討の 必要がある。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
いもち病
すいか
水田
|