タイトル |
小麦種子の胚乳断面色測定による胚乳粉色の簡易評価法 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
小麦種子の胚乳断面色を微小分光色差計で測定することにより、ふすまが混入しない胚乳粉色を評価することができる。また、半粒で測定できるため、初期世代の胚乳粉色による個体選抜が可能である。
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背景・ねらい |
小麦粉の色は原料小麦粒の胚乳色とふすまの混入程度の2つの要因に影響される。 粉色の選抜の効率化を図るためには、これらの要因を別々に評価する必要が あるが、製粉時のふすまの混入の影響を除くことは不可能であり、これまで小麦の 胚乳色を簡易に測定する方法はなかった。そこで、歯科などで利用されている 微小面分光色差計を用いて、小麦粒の胚乳断面の色調を測定することにより、 小麦の胚乳色を簡易に評価する方法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 小麦粒をカッターナイフで半分に切り、胚を含まない半粒を約2mmの厚さに輪切りに
した後、蒸留水が浸透しやすいように外周の皮を除去し、殻粒の中央に近い方の 断面を測定面とする(図1)。
- 乾燥時の胚乳断面のL*(明るさ)は、硝子率の高いものほど低くなる傾向
があるので、試料を室温で蒸留水に浸漬して、硝子率の影響を除く。 L*は浸漬時間が長くなるに伴って増加し、4時間後に安定するため、 試料の浸漬時間は4時間が適当である(図2)。
- 胚乳断面のa*(+:赤み、-:緑み)、b*(+:黄色み、-:青み)に
ついては、蒸留水への浸漬時間による変化はみられないので、浸漬後の試料は、 微小面分光色差計を用い、測定径0.2mmで、L*、a*、 b*を測定する。
- 種子の背軸側で測定した場合、縦溝が深い品種では、深く切れ込んだ皮部の影響を
受け、測定値が安定しないため、種子の向軸側の位置(図1)を測定位置とする。
- この方法で測定した胚乳断面色と、胚乳粉(小麦粒から胚乳のみを取り出して、
ガラスの乳鉢で粉砕し、100メッシュのふるいに通した粉)の色の間には、 、L*、a*、b*のいずれにおいても高い相関関係 があり、胚乳断面色を測定することにより、ふすまの影響のない胚乳断面色を 推定することができる(図3)。
- 選抜に用いる場合、種子の半粒で測定でき、試料の調製時に残った胚側の半粒を
播種することにより、次世代を得ることができるのでF2世代からの 個体選抜が可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 胚乳粉とブラベンダー製粉機で製粉して得られたA粉(ふるいから先に落ちた低灰分
粉で従来の粉色の評価はこれを用いている)の明るさの違いは品種により異なって おり(図4)、胚乳粉色による評価は必要であると 考えられる。
- 製粉する必要がないので少量のサンプルでも測定できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
小麦
播種
評価法
品種
ラベンダー
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