ソバ子実に含まれるフェノール性物質の測定法

タイトル ソバ子実に含まれるフェノール性物質の測定法
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1999~2003
研究担当者
発行年度 1999
要約 ソバ子実の粗抽出物を供試して、電気化学検出器を接続したHPLCにより、煩雑な前処理をすることなく迅速に、カテキン類を分別して定量することが可能である。さらにUV検出器と同時使用することによりルチンも同時定量が可能である。
背景・ねらい ソバは栄養豊富な健康食品として認識されており、
毛細血管強化作用を持つルチンが含まれていることが知られている。
それに加えて、これまでにソバ子実からは抗酸化活性の高い特徴的なカテキン類を
単離している。しかし、カテキン類は粗抽出物を用いた場合、
通常利用される紫外(UV)検出器を接続したHPLCでは共雑成分のピークとの
分離が困難であり、HPLCによる分析に先立ち、煩雑な前処理によりカテキン類を
分画する必要がある。抗酸化成分の含量を高めた特徴的な品種を育成するには、
多数の育種素材の評価が必要であり、そのためにはカテキン類を含めた
フェノール性物質の簡易・迅速な測定法が必要である。
そこで、ソバ子実に含まれているフェノール性物質の迅速な分別測定法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ソバ子実のメタノール抽出物をUV検出器を接続したHPLCで分析すると、
    280nmでは感度が低く、クロマトグラム(図1)の各ピークの分離が不十分であることから、
    カテキン類を選択的に定量することができない。
    350nmの場合にはルチンを選択的に定量できる
    (図2)が、カテキン類のピークは検出されない。
  2. 酸化還元物質を測定対象とする、電気化学検出器(クーロケムII)を使用すると、
    電極のポテンシャルの設定値が高い場合(+700mV)には、
    複雑なクロマトグラム(図3)となるが、
    ポテンシャルを下げるにつれてカテキン類のピークがはっきりし、
    +300mV付近で定量が可能となる(図4)。
  3. UV検出器(350nm)と電気化学検出器を直列で接続した場合、
    ルチンおよびカテキン類の同時定量が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. フェノール性物質の溶出は、ODSカラム(4.6×250mm)を接続したHPLCで、
    水-メタノールの混合溶媒(2.5%酢酸を含む)を使用し、
    メタノール濃度を直線的に上昇(5→77%,48分)させて行っている。
    他の溶媒を使用する場合には、
    検出のための最適な設定ポテンシャル値も変化すると考えられる。
  2. カテキン類以外にも、抗酸化性が高いことが推測されるピークの存在が認められる
    (図4)が、同定には至っていない。
図表1 231465-1.gif
図表2 231465-2.gif
図表3 231465-3.gif
カテゴリ 育種 そば 品種

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