タイトル |
ソバ導入による複合部門の強化とソバ産地の拡大方向 |
担当機関 |
秋田県農業試験場 |
研究期間 |
1995~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
そば導入により複合部門を強化するためには、そば栽培の高能率機械化体系への移行や、低収量・低収益を補完する加工販売、2作どり体系の導入が必要である。さらに、加工・販売体制の整備により、地域全体としてそば生産の拡大が図られる。
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背景・ねらい |
本県のそばの多くは転作作物として作付されているが、 収量や収益性が低いことから所得の確保が十分ではない。 そこで、江戸時代から地域全体として、 そばを栽培から加工・販売まで一貫して行い付加価値を高めている 峰浜村石川集落を対象に、そばの収益性向上による複合部門の強化と 生産・加工を拡大していくための方向について明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 集落農家の約半数は、そばを栽培している。
そばを生産・加工し、周辺地域への販売や、 食堂で生そばを提供しているそば生産組合員を中心に、 そば作付面積は50ha(1997年現在)にまで拡大している。 さらに、拡大作物としてキャベツ・みょうが等の野菜が導入されている。 今後そばや野菜等の複合部門を強化していく担い手は、 そば生産組合員が多いIII類型「野菜多品目・そば加工販売」農家群である (図1)。
- ほとんどのぞば栽培は、小規模機械に依存した技術体系(慣行体系)の
年1作の土地利用である。高能率な機械化体系の導入により、 10a当たり労働時間は8.67時間と慣行体系の1/4に短縮できる (表1)。
- 収益性の向上策としては、
加工・販売することで農閑期の労働力利用を高めつつ、 玄そば出荷の5倍の所得確保が可能となる (表2)。 夏そばと秋そばの2作どり体系の導入は、 収量の確保とコンバイン利用コストの軽減等が図られる。 収益性の高い初夏どりキャベツと秋そば体系の導入は、 複合部門のさらなる強化が図られる(表3)。
- そばの生産拡大を図るためには、そばの需要を高める必要がある。
そのためには、加工そばの品質統一や宣伝活動、 共同加工施設の設置等の供給体制の整備を行い、 加工そばの販路を拡大していくことが必要とされている (図2)。 さらに、組合と生産者間での契約栽培等集落のそば生産体制を強化することで、 III類型の複合強化だけでなくI・II類型へもそばの導入・拡大が図られる。 その結果、地域全体としてそば生産の拡大に結びつく。
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成果の活用面・留意点 |
- そばによる農業振興を推進する上での資料となる。
- 大豆・そば専用コンバインをそばのみに利用する場合の損益分岐点は、16haとなる。
専用コンバイン導入には、これ以上の面積が必要となる(作業料金8,000円)。
- 加工そばの販路拡大を検討するためには、
加工そばの消費動向や消費者の嗜好等を把握する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
加工
機械化体系
キャベツ
コスト
出荷調整
生産拡大
そば
大豆
みょうが
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