タイトル |
農業法人の経営管理に対する自己認識の特徴 |
担当機関 |
福島県農業試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
福島県内の農業法人に対し、経営管理に関する自己認識のアンケート調査を実施した。結果、農業法人経営者は自己の経営を3.4点(5点満点)と自己採点し、総じて「経営基本」、「財務」に関しては高い意識を示したが、「販売」に関しては低かった。また、果樹を主作目とする法人は全ての項目で最下位である。一方、法人設立からの経過年数と自己認識のレベルには、特徴的傾向が示されなかった。
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背景・ねらい |
近年、本県においては農業経営の法人化が進展し、 約400近い法人が登記されており(平成8年2月現在)、 さらに認定農業者となった農業法人数も131法人(平成11年12月末)となった。 しかし、農業法人に対する経営管理の調査例は少なく、 農業法人の経営指導にあたって問題点と指摘される。 このようなことから、県内農業法人に対し経営管理意向のアンケート調査を実施し、 経営管理の様々な側面に対し、各法人がどのように自己認識しているのかを、 法人形態別、主要作目別等の特徴を明らかにし、 今後の経営改善指導に資するための参考とする。
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成果の内容・特徴 |
- 県内農業法人の経営者は、自己の経営を3.4点(5点満点)と採点した。
- 設問項目について、県内農業法人経営者は、「経営基本」及び「財務」に関しては、
回答全法人、法人形態別、主要作目別、売上高別のいずれの区分においても 自己採点結果が高く、比較的優れていると自己認識していることが示された。 一方、「販売」に関すること、特に「広告・販売促進」については、 いずれの区分の場合でも、他の設問項目に比べ自己採点結果が総体的に低く、 努力や改善を要すると自己認識している。
- 法人形態別では、株式会社の自己採点結果が高く、
株式会社が総じて優れた経営管理にあると自己認識している (表1)。
- 主要作目別では、苗木生産を主要作目とする農業法人において自己採点結果が高い
(苗木生産3.8点)。次いで畜産、花き、菌茸と続く(各3.5点)。 一方、果樹を主要作目とする農業法人は、果樹以外の作目を主とする農業法人より 自己採点結果(2.6点)が低く、すべての項目において最下位である。 果樹を主要作目とする農業法人では、経営管理上、 要改善点があると自己認識していることが示された (表1)。
- 売上高別では、売上高が多いほど自己採点結果が高い。
- 法人設立からの経過年数と自己採点結果には、回答全法人、法人形態別、
主要作目別、売上高別のいずれの区分においても特徴的傾向が示されなかった (表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 農業法人の経営管理に対する意向を把握したことにより、
農業法人への行政的・普及的対応法へ寄与することができる。
- アンケートの設問は、「農業法人の経営管理に関するチェックシート」
(全国農業会議所「農業法人の経営診断」、1995年)に準拠している。
- 調査票送付農業法人数195法人、有効回答80法人(40.1%)での集計であり、
平均値の算出のみの結果である。 より詳細な検討のためには、統計的な処理が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
経営管理
経営診断
苗木生産
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