ハイブリッドライスのためのインド型維持系統の育成

タイトル ハイブリッドライスのためのインド型維持系統の育成
担当機関 東北農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 滝田 正
発行年度 2000
要約 Chinsurah Boroll由来の細胞質雄性不稔(BO)に対し回復遺伝子を持たないインド型の水稲系統を選抜した。このためBO型では困難とされてきた印/印交雑および印/日交雑ハイブリッドが可能になる。
背景・ねらい 現在、中国等数カ国でハイブリッドライスが普及している。これらのほとんどは、野生稲由来の細胞質雄性不稔系統(WA)を用いた3系交雑によるインド型のハイブリッドである。しかし、この不稔系統は出穂期の遅延や穂の抽出不良を引き起こす問題があるため採種に困難を伴う。一方、新城(1984)の開発した雄性不稔系統(BO)は、これらの問題が少ない優れた特性を有する。しかし、BO型については、インド型の草型と回復遺伝子は密接に連鎖し(小林・福田 1991)、回復遺伝子を持たないインド型の維持系統は育成されておらず、インド型のハイブリッドには使用されなかった。また、日印交雑ハイブリッドの採種については、雄性不稔系統は開花時刻が遅れる傾向があるので、開花開始時刻の早いインド型を母親とするのが望ましく、この場合もインド型の維持系統が必要である。そこで、ハイブリッドの採種向上を目的に、BO型について回復遺伝子を持たないインド型系統の育成をおこなう。
成果の内容・特徴
  1. 日印交雑からインド型の草型を持ち回復遺伝子を持たない系統を選抜することができる(表1)。
  2. TML4/ハバタキからインド型として選抜された回復遺伝子を持たない「98TB14-9」は、出穂期は「ひとめぼれ」より5日程度遅く、穂は大きく、止葉は直立し、穂の抽出は不良で、草姿は片親の「ハバタキ」に似ている(表2,図1)。
  3. 「98TB14-9」は、苗の形態と耐冷性、葉の枯れあがり、穂発芽特性、開花時刻、外観品質についてもインド型の特性を示す。
  4. 「98TB14-9」は、日本型との交雑で雑種不稔が極めて多く、インド型との交雑で少なく、雑種稔性特性もインド型である(表3)。
      
  5. 以上のことから、「98TB14-9」は、回復遺伝子を持たないインド型系統と判断される。
成果の活用面・留意点
  1. 「98TB14-9」をハイブリッドのためのインド型維持系統の育成に用いる。
  2. 「98TB14-9」は穂の抽出が劣る問題がある。
図表1 231578-1.jpg
図表2 231578-2.jpg
図表3 231578-3.jpg
図表4 231578-4.jpg
カテゴリ 水稲

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