水稲品種のタイヌビエ抑草力は空間占有体積によって評価ができる

タイトル 水稲品種のタイヌビエ抑草力は空間占有体積によって評価ができる
担当機関 (東北農業研究センター
研究期間 2000~2000
研究担当者 橘 雅明
渡邊寛明
発行年度 2000
要約 タイヌビエに対する水稲の抑草力には品種間差異がある。水稲品種の抑草力は、移植約40日後の株の草冠短径・長径および草高から算出する水稲の空間占有体積によって評価できる。
背景・ねらい 水稲作の除草剤使用量の低減を図る上では、雑草に対して強い競争力を有する水稲品種の育成とその利用が有効な手段となる。水稲品種の抑草力の評価手法を開発するために、草型の異なる水稲品種と最強害雑草であるタイヌビエとの混植栽培を行い、水稲形質とタイヌビエ生育量との関係を解析した。
成果の内容・特徴
  1. タイヌビエの生育量は水稲品種の草型によって異なり、その生育は長稈型品種と開張型品種の群落内において強く抑制される。水稲品種の抑草力を評価する指標として、移植約40日後の水稲株の草冠短径・長径および草高から算出する空間占有体積を考案した(図1)。
     
  2. 草型の異なる水稲6品種を供試し、成熟期のタイヌビエ乾物重と水稲単植区の生育期形質等との相関を調べた結果、草高・乾物重・群落内相対光量子量などと比較して空間占有体積との相関係数が最も安定して高く、空間占有体積が評価指標に適している(表1)。
     
  3. 多数の品種を供試した場合にも水稲株の空間占有体積と成熟期のタイヌビエ乾物重との間に負の相関が認められることから、空間占有体積によってほとんどの水稲品種のタイヌビエ抑草力を評価できる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. タイヌビエに対する水稲品種の抑草力を生育期の非破壊計測により簡便に評価できることから、雑草に強い水稲品種の育成に活用できる。
     
  2. 稚苗移植栽培において移植約1週間後以降に発生したタイヌビエを対象とする。
     
  3. 少肥条件ではやや精度が劣る。
     
  4. 空間占有体積が群落内の光環境を反映しない「合川1号」など適用できない品種もある。
      
  5. 東北以外の地域に適用する場合には栽培条件と測定時期の検討が別途必要である。
図表1 231592-1.jpg
図表2 231592-2.jpg
図表3 231592-3.jpg
カテゴリ 病害虫 栽培条件 雑草 除草剤 水稲 品種

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