タイトル |
「もみがら成形マット」は種子伝染性病原菌(いもち病菌、苗立枯細菌病菌)の汚染はない |
担当機関 |
青森県農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
桑田博隆
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発行年度 |
2000 |
要約 |
水稲育苗用に開発された「もみがら成型マット」は、イネ種子の発芽障害や苗立枯病等を起こす菌に汚染されておらず、籾殻に付着した菌による障害発生のおそれはない。
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背景・ねらい |
水稲の籾殻の有効利用と育苗作業の労働軽減をめざして開発された「もみがら成型マット」は、開発当初から、原材料籾殻が種子伝染性病原菌に汚染されている可能性が指摘され、それによる苗立枯病等の育苗障害発生が懸念されていた。しかし、マットは150℃・3分間の加熱圧縮工程を経て製造されることから、籾殻に付着する微生物がほとんど死滅することが期待される。そこで原材料籾殻および完成品のマットから分離される微生物を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 原材料の籾殻から分離された微生物数は、糸状菌が104~105cfu/g、細菌が108~109cfu/gであるのに対し、製品「もみがら成型マット」から分離された糸状菌は101cfu/g、細菌は102cfu/gまで低下している(表1)。
- 乾燥状態にあるイネいもち病菌およびイネ苗立枯細菌病菌が乾熱処理により死滅する温度は、いもち病菌は120℃では2分30秒~3分、130℃では1分30秒~3分、苗立枯細菌病菌は120℃では1分30秒~2分、130℃では1分である(表2,3)。
- 「もみがら成型マット」より分離された糸状菌90菌株ならびに細菌165菌株には、イネ種子の発芽阻害あるいはイネ苗立枯病等を引き起こさない(表4)。
- 以上の結果から、「もみがら成型マット」は苗立枯病等を起こす菌に汚染されておらず、原材料の籾殻に付着した微生物によるイネ種子の発芽阻害あるいは生育期間中の苗立枯病等育苗時における障害発生の危険性は非常に低いと考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 覆土の種類によっては、Fusarium属菌等の土壌伝染性病害による苗立枯病が発生する可能性があるほか、Trichoderma属菌等空気中を飛散しやすい病原菌の「飛び込み」により苗立枯病が発生する可能性がある。これらに対しては各県の病害虫防除基準に従い対策を講ずる。
- 以上の成果は「もみがら成型マット」(株式会社 山本製作所が作製)を使用して得たデータに基づく。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
育苗
いもち病
乾燥
水稲
立枯病
病害虫防除
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