タイトル |
葉いもち予防粒剤の育苗箱施用による河川への薬剤成分流出の低減化 |
担当機関 |
岩手県農業研究センター |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
伊藤美穂
築地邦晃
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発行年度 |
2000 |
要約 |
葉いもち予防粒剤の育苗箱施用は、本田期の水面施用に比べ田面水中への成分の溶出が少なく、河川への薬剤成分の流出は、地域の主な防除体系が本田施用から育苗箱施用へ移行することで検出されないレベルに低減する。
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背景・ねらい |
近年、急速に普及しつつある薬剤の育苗箱施用法は、用水路等への飛散がないことなどから、河川への成分流出の低減が見込まれる施用法である。そこで、葉いもち予防粒剤を対象に、従来の水面施用と箱施用を比較して、水田における薬剤の残留消長および河川での残留実態を調査し、環境負荷軽減対策としての有効性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 葉いもち防除用の育苗箱施用剤であるプロベナゾール粒剤(24%)およびカルプロパミド粒剤の施用当日~翌日における田面水濃度は、水面施用剤であるプロベナゾール粒剤(8%)あるいはピロキロン粒剤の施用後における田面水濃度と比較して、極めて低い(図1)。
- 主な葉いもち防除体系が本田期の水面施用から育苗箱施用へ移行した地域における1998~2000年の実態調査(岩手県平泉町、太田川、流域面積150ha)では、箱施用剤3剤(プロベナゾール、カルプロパミド、トリシクラゾール)の成分は河川水から検出されない。また、プロベナゾールの河川への流出は、水面施用法から育苗箱施用法に変わることで、検出されないレベルにまで低減化される(表1、表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 葉いもち予防粒剤の育苗箱施用法は、環境負荷を軽減する防除技術として活用できる。
- 本調査における各農薬分析上の検出限界は全て0.0005㎎/㍑(0.5ppb)である。
- 水質関係の基準は以下のように定められており、水面施用法であっても問題はない。
公共用水域等における農薬の水質評価指針値(mg/㍑) プロベナゾール・0.05(50ppb)、トリシクラゾール・0.1(100ppb) 水質汚濁に関る農薬登録保留基準値(mg/1(ppm)) カルプロパミド・0.4(400ppb)、トリシクラゾール・0.8(800ppb)、 ピロキロン・0.4(400ppb)、プロベナゾール・0.5(500ppb)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
水田
農薬
防除
薬剤
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