堆肥の全窒素、全炭素及びC/N比の現場で使用可能な測定法

タイトル 堆肥の全窒素、全炭素及びC/N比の現場で使用可能な測定法
担当機関 山形県立農業試験場
研究期間 2000~2002
研究担当者 長沢和弘
佐藤之信
中川文彦
慶徳勝憲 
発行年度 2000
要約 堆肥の全窒素をケルダール分解ーイオン電極法、全炭素を強熱減量法により、普及現場で安価に、低コストで推定できる方法である。
背景・ねらい 持続性農業の推進においては、堆肥などの有機物の適正利用が重要である。そのためには、堆肥の窒素分や腐熟程度を普及現場で把握できることが望ましい。現在、全窒素はケルダール分解ー蒸留法で測定されるが、普及センターにはドラフトは有るが蒸留装置が不備であることが多く、普及現場での測定は困難である。また、炭素率(C/N比)は堆肥の腐熟程度を把握する重要な指標となるが、全炭素分析にはCNコーダー等高価な機器を要し、やはり普及現場での分析は困難である。そこで、安価なイオンメーターや電気マッフル炉を用いて、堆肥中の全窒素と全炭素を普及現場でも推定できる方法を考案した。
成果の内容・特徴
  1. 水蒸気蒸留法とイオン電極法による堆肥の全窒素の測定値は1:1に対応し、有意な正の相関がある(図1)。
      ・ケルダール分解ーイオン電極法の手順
      ①ケルダール分解
       全窒素のケルダール分解は試料5g、分解促進剤(硫酸銅:硫酸カリウム=1:9)5g、硫酸50mlの条件で行った。
      ②アンモニア電極(イオンメーター)による測定
       全窒素のアンモニア電極による電位差の測定は、検量線用標準液、10倍希釈した分解液それぞれ約30mlに飽和NaOH4mlを加え、速やかに電極を挿入し、マグネチックスタラーで撹拌しながら、約1分後に行った。飽和NaOHを加えた後、時間の経過とともにアンモニアが揮散するため、飽和NaOHは測定直前に加える。
      ③検量線による全窒素の計算
     
  2. 堆肥の全炭素含量(%)は、強熱減量法による有機物含量(%)のほぼ2分の1であり、次式で計算でき、従来法による測定値との相関は高い(図2)。
       Y(全炭素%)=0.467xX(強熱減量%)r=0.960**
      ・強熱減量法
      
      風乾後粉砕した堆肥2g(水分既知)を磁製るつぼに正確にとり、電熱器上で穏やかに加熱して炭化させた後、電気マッフル炉に入れ580℃で2時間以上保ち完全に灰化する。灰化後の重さを正確に量り、この減量から水分の相当量を減じて有機物含量(%)とし、乾物当たりの量(%)に換算する。
     
  3. ケルダール分解ーイオン電極法、強熱減量法で求めた全窒素(%)、全炭素(%)により、堆肥のC/N比が推定できる。(図3)
成果の活用面・留意点
  1. 供試試料は県内流通堆肥で全窒素は11点、全炭素は43点を用いた結果である。
図表1 231615-1.jpg
図表2 231615-2.jpg
図表3 231615-3.jpg
カテゴリ 肥料 低コスト

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