タイトル |
水稲湛水直播栽培における収量60kg/aの生育モデルと苗立数不足時の追肥の効果 |
担当機関 |
福島県農業試験場 |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
川島俊和
菅野忠教
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発行年度 |
2000 |
要約 |
ひとめぼれの湛水直播栽培における収量レベル60kg/a、1等米格付の生育モデルを作成した。また、苗立数不足の場合は、播種1ヶ月後の追肥により標準苗立数と同等の収量が確保される。
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キーワード |
ひとめぼれ、湛水直播栽培、収量レベル60kg/a、1等米格付、苗立数不足、播種1ヶ月後の追肥
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背景・ねらい |
福島県における直播栽培の主要品種ひとめぼれの収量と品質の安定化をはかるため、湛水土中条播栽培における収量60kg/a、登熟歩合90%、1等米格付けの生育モデルを作成する。また、苗立数が不足した場合の追肥の効果について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 3年間安定して収量60kg/aが確保された苗立数は90本/㎡であり、これを標準苗立数とする。標準苗立数での生育パターンを生育モデルとする。標準苗立数で収量60kg/aを得るための収量構成要素は、㎡当り籾数が2.80万粒、登熟歩合が90%、千粒重が24.0gであり、それを確保するための穂数は430本/㎡、1穂籾数は65粒である(表1)。
- 生育モデルを確保するための、出穂期における栄養生理生態特性は、次のとおりである(表2)。
- 光合成器官である㎡当り葉身重と蓄積器官である茎重の比率は、2.8である。
- 出穂期葉身重、茎重当りの籾生産効率は、それぞれ1.39、0.50(×100)である。
- ㎡当りの全炭水化物量は144g/㎡であり、1穂当りの茎重は1.8(g/本)である。
- 収量60kg/aを得るための生育モデルを炭水化物が十分蓄積した茎数で示すと、苗立数は90本/㎡、最高分げつ期における苗立1個体が生産する茎数は8本、また、成熟期における苗立1個体が生産する穂数は5本である。
- 苗立数不足(40本/㎡レベル)時における播種後1ヵ月の追肥の効果
- 苗立1個体当たりの茎数が増加する(図1)。
- 出穂期における茎重が増加し、茎重当たりの籾生産効率が高まる(表2)。
- 1茎当たりの炭水化物保有量が高まる(表2)。
- 登熟期間における乾物収支は標準並となる(図2)。
以上から、播種後1ヶ月追肥により出穂期における生理・生態が改善され、苗立数が標準(90本/㎡)と同等の収量を確保できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 生育・栄養診断予測のための基礎データとする。
- 福島県中通りの試験データによる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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図表8 |
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カテゴリ |
肥料
栄養診断
直播栽培
水稲
播種
品種
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