タイトル |
農業集落排水汚泥の施用効果と重金属の集積 |
担当機関 |
福島県農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
半澤勝拓
尾形 正
野木照修
|
発行年度 |
2000 |
要約 |
農業集落排水汚泥を農耕地へ施用すると、作物の増収効果が認められるが、汚泥に含まれるカドミウム、銅、亜鉛等の重金属のほとんどが土壌に蓄積する。汚泥を乾物当たり1t/10a施用すると7回の連用で亜鉛の管理基準を越える。
|
背景・ねらい |
福島県の農業集落排水処理施設から産出される汚泥は、乾物換算で年間7,000t以上と見込まれる。農業の物質循環機能を生かし、これらの未利用有機物を農耕地に施用し、地域内循環を図ることが求められている。そこで農業集落排水汚泥の成分特性を明らかにするとともに、汚泥の肥料的効果と重金属の収支をライシメーター試験により明らかにし、汚泥施用の留意点を指摘する。
|
成果の内容・特徴 |
- 福島県内14ヶ所の農業集落排水処理施設から産出される汚泥の主な有効成分の平均値は、炭素38%、窒素5%、燐酸7%であったが、重金属もカドミウムが2.5ppm、銅が474ppm、亜鉛が906ppm含まれ、産出される施設によって値が大きく異なる(表1)。
- ソルガムとハクサイに対する汚泥の施用は、汚泥由来窒素の吸収により収量が10~40%増加し、肥料的効果が認められるとともに、土壌への窒素富化をもたらす(図1,表2)。
- 汚泥の施用により重金属は土壌に集積し、汚泥(乾物)を10a当たり1トン施用すると、7回の施用で「農用地における土壌中の重金属等の蓄積防止に係わる管理基準」で示された亜鉛120ppmを越えた(表2)。
- 汚泥施用によって土壌に投入された重金属は、作物による吸収と土壌下層への移動はわずかで、ほとんどが土壌に集積する(表3)。
- 以上の結果から、農業集落排水汚泥の施用に当たっては、作物の生育収量のみにとらわれず、土壌中の亜鉛が基準を越えないよう、重金属を減らす堆肥化方法の検討と土壌診断に基づいた施用法を策定する必要がある。
|
成果の活用面・留意点 |
- 農業集落排水汚泥の施用基準策定の基礎資料とする。
- 農耕地土壌の亜鉛の自然含有量は、圃場によって異なるので、汚泥の施用基準の作成には、農耕地の重金属調査が必要である。
- 本成果は、汚泥の多量施用試験の結果である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
肥料
ソルガム
土壌診断
はくさい
|