福島県におけるうどんに適した小麦新品種「きぬあずま」

タイトル 福島県におけるうどんに適した小麦新品種「きぬあずま」
担当機関 福島県農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 丹治克男
二瓶直登
半沢伸治
発行年度 2000
要約 「きぬあずま」は低アミロース系統で、「トヨホコムギ」に比べ製めん適性が高く、めんの粘弾性、滑らかさが優れる。「トヨホコムギ」とほぼ同熟期の中生で、耐倒伏性が強く、安定多収である。平成12年度福島県奨励品種に採用し、小麦の品質・収量の向上を図る。
背景・ねらい 福島県の平成11年度の小麦作付は110haで、うち「トヨホコムギ」が27ha(24%)作付されている。「トヨホコムギ」は強稈・多収の優良品種であるが、製粉特性および製めん特性は劣り、実需者から良質品種に対する要望が高くなっている。また「アブクマワセ」は良質であるため実需者からの評価は高いものの、穂発芽しやすく、収穫期の雨濡れによる発芽粒による品質低下が問題になっている。麦生産拡大に当たり、加工適性が高く穂発芽性の強い品種が求められている。
成果の内容・特徴
  1. 「きぬあずま」は、昭和60年度、農林水産省農業研究センターにおいて「関東107号」を母、「関東105号」を父として交配し、育成された系統である。
     
  2. 播性は「I」で、成熟期は、「トヨホコムギ」並の中生種である。
     
  3. 穂発芽性は「トヨホコムギ」よりやや弱い「中」で、耐倒伏性は「トヨホコムギ」並の「強」である。
     
  4. うどんこ病抵抗性は「弱」、赤さび病抵抗性は「強」、赤かび病抵抗性は「やや弱」で、総じて病害抵抗性は「トヨホコムギ」並である。
     
  5. 収量は「トヨホコムギ」に優る。千粒重は「トヨホコムギ」よりやや大きい。
     
  6. 粒色はやや淡い褐色、粒質は粉状質である。
     
  7. 外観品質は上の下~中の上で、「トヨホコムギ」にやや優る。
     
  8. 製粉歩留は農林61号と同等である。
     
  9. 粉の白度は農林61号並で、「トヨホコムギ」に優る。
     
  10. 低アミロース系統で、アミログラムの最高粘度・ブレークダウンともに高い。製めん適性は、アブクマワセに比べめんの色はやや劣るものの、めんの粘弾性・滑らかさに優れる。
    表1.奨励品種決定調査における成績
    表2.めん食味試験
成果の活用面・留意点
     
  1. 耐雪性はトヨホコムギ並の「中」であり、普及対象地帯は降雪の少ない中通り・浜通りの平坦地である。(図)
      
  2. タンパク含量はやや低いので、出穂期追肥によりタンパクの向上をはかる。
      
  3. うどんこ病にはやや弱いので、防除を実施する。
      
  4. 耐倒伏性は高いが、穂数700本以上・稈長85㎝以上では倒伏が見られるので注意する。
図表1 231625-1.jpg
図表2 231625-2.jpg
図表3 231625-3.jpg
カテゴリ 病害虫 うどんこ病 加工適性 小麦 新品種 生産拡大 抵抗性 病害抵抗性 品種 防除 良食味

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