タイトル |
日本海側の気象条件下における大豆の刈り遅れによる品質変動 |
担当機関 |
山形県立農業試験場 |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
相澤直樹
鈴木雅光
|
発行年度 |
2000 |
要約 |
大豆の刈り遅れによる外観品質の変動は品種間で異なり、スズユタカは成熟期後20日を過ぎると裂皮粒の発生が著しく、タチユタカは成熟期後30日でしわ粒、変質・腐敗粒が増加し、リュウホウは成熟期後20日以降はしわ粒の増加程度が著しい。子実成分については、粗脂肪含有率がやや低下する傾向がある。
|
背景・ねらい |
自給率向上を目的とした水田作大豆の作付面積が拡大したため、収穫適期内に刈り取りが終わらず、品質低下を招いている。そこで、成熟期以降の大豆の品質・成分の変動を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 大豆は成熟期以降、適期に収穫できずほ場に放置すると、品種毎に以下のような理由で検査等級が低下する。
1)スズユタカは、成熟期以降主に裂皮粒が増加し、特に成熟期後20日以降は裂皮粒の発生が著しい。しかし、しわ粒の発生は見られない。(図2) 2)タチユタカは、しわ粒、変質・腐敗粒が増加し、特に成熟期後30日以降は変質・腐敗粒の発生が多くなる。しかし、裂皮粒の発生は見られない。(図3) 3)リュウホウは、成熟期にはしわ粒(軽微なものも含む)が認められ、以降徐々に増加するが特に成熟期後20日以降はその増加程度が著しい。しかし、裂皮粒の発生は見られない。(図4) - 子実成分については、以下のとおりである。(表1)
1)粗蛋白質含有率については、成熟期以降の変化は一定の傾向が認められない。品種間では最大と最小の差が3%程度である。 2)粗脂肪含有率は、成熟期以降は若干ながら低下していく傾向があり、品種間に最大2%程度の差がある。 3)全糖含有率は、成熟期以降の変化については一定の傾向が認められないが、品種間に最大5%程度の差があり、スズユタカで高く、トモユタカで低い。
|
成果の活用面・留意点 |
- 品種によって刈り遅れによる品質低下の症状は異なるが、大豆の高品質生産のためには成熟期での刈り取りを基本とし、やむを得ない場合はスズユタカ・リュウホウで成熟期後20日まで、タチユタカは同30日までの期間のできるだけ早い時期に刈り終える
- 成熟期以降の品質低下の要因の1つとして、気象変動に伴う莢の乾燥・湿潤の繰り返しが考えられる(図1)。
- 成熟期以降の品質低下は、地域・ほ場・耕種法等の栽培条件でその程度にバラツキがある。
- 作付面積を拡大する上で、コンバインなどの機械整備や品種構成等の参考資料となる。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
図表5 |
 |
カテゴリ |
乾燥
栽培条件
しわ粒
水田
大豆
品種
|