タイトル |
貯蔵方法がエダマメの鮮度保持に与える効果 |
担当機関 |
山形農試加工開発研究部 |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
今野陽一
|
発行年度 |
2000 |
要約 |
えだまめを、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)で包装貯蔵(MA貯蔵)することにより、室温20℃の貯蔵条件下でも品質的評価では約1週間程度の鮮度保持が可能となる。一方、大気組成を高酸素条件(80%)にしてCA貯蔵を行った場合、貯蔵中のショ糖含量の変化が通常(未調整)大気組成下でのCA貯蔵とほぼ同様の傾向を示し、貯蔵期間の延長効果は認められない。
|
背景・ねらい |
えだまめは、高付加価値農産物としてのニーズが高く、本県でも各地で栽培規模拡大の動きが認められる。しかし、栽培規模の拡大とともに、肥培管理や収穫から出荷までの作業などが繁雑となり、品質の低下が懸念される。以上のことから、収穫後のえだまめの鮮度保持期間を延長する方法を検討し、各産地に適した出荷・流通技術を構築する。
|
成果の内容・特徴 |
- えだまめ(品種:越後ハニー)を、低密度ポリエチレンフィルム(以下LDPE、厚さ0.04㎜)で包装し20℃のやや冷蔵条件でMA貯蔵すると、食味関連成分であるショ糖の含量は、貯蔵開始より24時間以内に一時的に4%程度まで増加した後3%程度まで減少し、それ以降はしばらく横ばい状態で推移する。ショ糖含量の変化や達観的評価から、LDPEによる20℃でのMA貯蔵では、約1週間程度の鮮度保持効果が認められる。(図1)
- えだまめを、20℃のやや冷蔵、高酸素(80%)条件下でCA貯蔵すると、ショ糖含量の変化は、貯蔵開始より24時間以内は前述(1)のMA貯蔵の傾向と類似するが、貯蔵から2~3日で約1%まで減少し、それ以降は横ばい状態で推移する。このショ糖含量の変化は、通常(未調整)大気下でのCA貯蔵と同様の傾向を示しており、ショ糖含量の変化や達観的評価から、貯蔵期間の延長効果はほとんど認められない。
【試験条件】①供試試料[えだまめ品種]越後ハニー [栽培場所]山形農試14号畑圃場(褐色森林土)[播種日]平成12年6月16日 [収穫日]平成12年8月28日 収穫後、直ちに食品総合研究所へ冷蔵状態で移送し,8月29日に到着 ②えだまめの貯蔵方法及び試料サンプリング条件恒温恒湿室(設定温度:20℃、設定湿度:70%)内に、大気組成を80%に調製したチャンバー(試験区名:高酸素CA、チャンバー内寸法:W25.0㎝×D27.5㎝×H24.5㎝)と通常の大気組成チャンバー(試験区名:通常CA)を設置し、その中に選抜・均質化したえだまめ約700gをCA貯蔵した。また、同時に同じ恒温恒湿室内に低密度ポリエチレン袋(LDPE、厚さ0.04㎜)にえだまめ約100gを通常の大気組成で封入しMA貯蔵(試験区名:MA)した。その後、経時的(CA貯蔵区:貯蔵開始後6時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間,120時間、MA貯蔵区:貯蔵開始後1.5時間、5時間,12時間,24時間,57時間,97時間)に約100gずつ回収し、莢から子実のみを取り出し、液体窒素で急速冷凍後、分析試料として冷凍庫で保存した。 ③えだまめの品質評価方法保存した凍結試料を75%エタノールで磨砕抽出して試料溶液を調製し、高速液体クロマトグラフを用いて糖類を分析。含量の多いショ糖を品質評価の指標として、えだまめの品質変化を調査した。
|
成果の活用面・留意点 |
- LDPEを用いたえだまめのMA貯蔵では、開封後に薬品のような臭い(アセトアルデヒド臭、エタノール臭)のする場合があるが、これはえだまめ自信の呼吸などでフィルム内部がやや嫌気的な条件になり自然に発生するものであり、茹でれば揮散するため食味に影響しない。
|
図表1 |
 |
カテゴリ |
えだまめ
規模拡大
高付加価値
出荷調整
播種
肥培管理
品種
良食味
|