タイトル |
ベンズイミダゾール系薬剤耐性リンゴ褐斑病菌の出現 |
担当機関 |
秋田県果樹試験場 |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
佐藤 裕
|
発行年度 |
2000 |
要約 |
リンゴ褐斑病菌に対して卓効を示すベンズイミダゾール系薬剤に対する感受性を調べたところ、一部の園から著しく感受性が低下した耐性菌が検出された。この耐性菌に対するチオファネートメチル水和剤の防除効果は認められなかった。
|
背景・ねらい |
本病に卓効を示しているベンズイミダゾール系薬剤は、現在様々な病原菌で耐性菌が出現し問題となっている。本系統薬剤は、褐斑病対策として県の防除基準に採用されてから20年以上経過しており、耐性菌出現の懸念があったことから感受性検定により実態を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 秋田県南部12圃場由来の褐斑病分離菌株を薬剤感受性調査した結果、1圃場でチオファネートメチル剤耐性褐斑病菌が2菌株検出された(図-1)。
- チオファネートメチル剤耐性褐斑病菌は、他のベンズイミダゾール系薬剤であるベノミル(図-2)、チアベンダゾール、MBC剤にも耐性を示し、交差耐性が認められた。
- ジエトフェンカルブに対する感受性は、ベンズイミダゾール系薬剤耐性菌では高く、ベンズイミダゾール系薬剤感受性菌は低く(図-3)これら2系統の薬剤間には負の相関交差耐性が認められた。
- チオファネートメチル水和剤1,500倍をリンゴ樹へ散布後耐性菌を接種した結果、防除効果は極めて低かった。
表-1.耐性菌と感受性菌のチオファネートメチル水和剤に対する防除試験
|
成果の活用面・留意点 |
- 褐斑病防除剤としてのベンズイミダゾール系薬剤(チオファネートメチル水和剤、ベノミル水和剤)は連用、多用を控える。
- ベンズイミダゾール系薬剤の使用暦が多い園を主体に、定期的な感受性検定を行い耐性菌密度の把握につとめる。
- 耐性菌検出は一部の園地に限定されており、現状では早急な耐性菌対策の必要性は低いと考えられる。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
病害虫
耐性菌
防除
薬剤
薬剤耐性
りんご
|